「ドン詰まり」戸崎圭太と「カニ歩き」C.ルメールにブチ切れるファン続出…元JRA安藤勝己氏も苦言…波乱を決定づけた「父兄参観疑惑」川田将雅の存在
トップクラスの馬が参戦することも多く、「スーパーG2」といわれることもある毎日王冠(G2)だが、今年はソングラインとシュネルマイスターの2頭が参戦した。
シュネルマイスターは、初対決だったNHKマイルC(G1)でライバルを2着に下したものの、昨年と今年の安田記念(G1)で連敗。相手は次走にブリーダーズCマイル(G1)に参戦を予定しているため、最後の直接対決となる可能性が高い一戦だった。手塚貴久調教師も「1回くらい勝ちたい」とソングライン打倒に燃えていた。
単勝オッズも1番人気ソングラインが2.0倍、2番人気シュネルマイスターが2.9倍で続き、昨年の同レース2着ジャスティンカフェが、5.3倍と離れた3番人気。出走メンバーでG1馬が2頭のみということもあり、他の馬より2頭のどちらが勝つのかと考えたファンが大半だったのではないか。
しかし、能力で抜けている2頭といえども、それは不利なく走れたらの話。出遅れやレース中のトラブル、最悪の場合は競走中止など、何が起きても不思議ではないのが競馬である。残念ながらこのレースに限っては、どちらも不完全燃焼に終わってしまったといえるだろう。
というのもソングラインの戸崎圭太騎手とシュネルマイスターのC.ルメール騎手が、レース中の進路取りで致命的な失態を犯してしまったからだ。
好スタートを決めたソングラインとシュネルマイスターだが、道中は動かずに中団で待機。その間に外からフェーングロッテン、デュガがポジションを上げていく。横山典弘騎手のジャスティンカフェは“平常運転”の最後方から追走する。
ただ、結果的に仇となってしまったのは、3~4コーナーにかけての進路取りだ。ソングラインの戸崎騎手は外を回すロスを嫌ったのか、目前を走っていたデュガの内から最後の直線に入った。内目を追走していたシュネルマイスターのルメール騎手も、すぐ外にいるソングラインを意識したのか、馬群の真っ只中に突入していた。
そして、お互いに外に出す機会があったにもかかわらず、そうしなかった結果が最後の直線で渋滞に巻き込まれことになる。
「懸命に進路を探した戸崎騎手ですが、前にいるエエヤンが壁になって追い出しを待たされ、その内側にいたルメール騎手もソングラインに蓋をされる格好で万事休す。デュガがバテたことで何とか前が開きましたが、先に抜け出したエルトンバローズを捕まえ切れませんでした。
シュネルマイスターに至ってはさらにロスが大きい内から大外にカニ歩きで移動。ようやく追い出しに成功したものの、まともに追えたのはゴール前100m程度。突き抜けるだけの脚が溜まっていながら、非常に勿体ないレースとなりましたね」(競馬記者)
内の経済コースをロスのない完璧な騎乗で抜け出した西村淳也騎手の騎乗は、もちろん素晴らしかったが、どちらかというとエルトンバローズが勝ったというより、ソングラインとシュネルマイスターが自滅した内容に近い。
戸崎圭太騎手とC.ルメール騎手にブチ切れるファン続出…
この結果には、元JRA騎手の安藤勝己氏もSNSで「ソングラインもシュネルマイスターも一瞬で反応するタイプやないし、次を見据えとるからね」と一定の理解をしつつ、「圭太は早めに踏んどれば、ルメールは最初から外を回しとれば結果も違ったな」と2人の手綱捌きに苦言を呈していたが、腹の虫がおさまらなかったのは、レースを見たファンだ。
本来の実力を発揮していれば、ワンツー決着が濃厚だっただけに、ネットの掲示板やSNSでは「戸崎ふざけるな」「ルメールも酷かった」「こんなのはもう人災」という不満の声が続出。一般的に「馬券の購入は自己責任で」が大前提とはいえ、騎乗ミスと受け取られても仕方のない敗戦なら、納得がいかないファンが出たのも仕方なかったか。
戸崎騎手とルメール騎手が揃って残念な結果になった一方で、密かに存在感が光ったのはデュガの川田将雅騎手かもしれない。いつもは勝ち負けの期待出来そうな馬を厳選して騎乗する川田騎手だが、G1級の強豪が集まる毎日王冠にスプリンターのデュガで参戦。実力的に足りていないことは明白だったにもかかわらずだ。
ただ、ちょうどこの日の東京は、「第13回ジョッキーベイビーズ」の決勝大会が組まれており、長男の川田純煌(ぎんじ)くんが出場。息子の晴れ舞台を見るために、東京での騎乗を選んだのではないかという“父兄参観疑惑”もまことしやかに噂されていた。
そんなタイミングでたまたまデュガに騎乗し、間接的にソングラインとシュネルマイスターの不完全燃焼に影響を与えたあたりはさすが。戸崎騎手やその“とばっちり”を受けた格好のルメール騎手も、直線を迎えるまでに外に出すタイミングはいくらでもあっただけに悔いが残ったはずだ。
また、川田騎手としてもリーディングを争うライバルたちに1勝を加算させなかったのは好都合。純煌くんも見事に優勝を飾り、いつもは見せないような笑顔も印象的だった。