【天皇賞・秋(G1)】今年も1着馬の参戦なし…伝統G2・毎日王冠が完全にマイルCS(G1)のステップレースとなりつつあるワケ
29日に開催される天皇賞・秋(G1)の出走予定メンバーが15日、JRA(日本中央競馬会)から発表された。
特別登録は13頭とやや少ないものの、G1・4連勝中のイクイノックスとダービー馬ドウデュースの2頭を筆頭に、二冠牝馬スターズオンアースや上がり馬プログノーシスなど錚々たる顔ぶれ。近年稀にみるハイレベルなメンバーが揃いそうなだけに、結果的に少頭数となる見込みだ。
ただ、前哨戦の毎日王冠(G2)を優勝したエルトンバローズ(牡3歳、栗東・杉山晴紀厩舎)の名前が見当たらなかったことは、やや残念であるといえるかもしれない。
7月のラジオNIKKEI賞(G3)勝ち馬でもあるエルトンバローズは、毎日王冠で古馬と初対戦だったものの、ソングラインやシュネルマイスターといった強豪G1馬を抑えて見事に勝利を収めた。現在4連勝中で急激に力を付けていると思われるだけに、3歳馬の代表として参戦を期待していたファンも多かったことだろう。
「昨年のイクイノックスに一昨年のエフフォーリアと、天皇賞・秋は現在3歳馬が連勝中なんですよね。ただエルトンバローズが出走しないとなると、今年の同レースに3歳馬の参戦はナシとなりそうです」(競馬誌ライター)
なお毎日王冠といえば、今年で74回という歴史を誇る伝統のG2レースである。それと同時に、2014年からは天皇賞・秋のステップレースとして、1着馬に優先出走権が与えられている。
ただ、ここ5年間の勝ち馬(アエロリット、ダノンキングリー、サリオス、シュネルマイスター)はその後、本番を回避。エルトンバローズも出走しないとなれば6年連続となるだけに、果たして前哨戦として機能しているのかどうか疑問が生じ得なくもない。
「毎日王冠を使うと、本番の天皇賞・秋までは中2週になりますからね。近年では前哨戦を叩いて中2週で本番に挑む強豪馬はほとんど見かけなくなりました。ローテーション的な意味で毎日王冠は、もはや時代遅れのステップレースとなりつつあるのかもしれません。
ちなみに過去5年の毎日王冠の勝ち馬はその後、もれなくマイルCS(G1)に出走しています。同レースまでは中5週と程よい間隔。近年のトレンドともマッチしているだけに、今後はよりマイルCSのステップレースとして地位を確立していくことも考えられます」(同)
2000年以降にはダイワメジャーとカンパニーが、毎日王冠と天皇賞・秋を連勝。それ以前にはサイレンススズカが毎日王冠を制した後、本番で無念の競走中止となった。今後このように強豪馬が両レースを使うという機会は、ほとんど見られなくなっていくのかもしれない。