ドゥレッツァ菊花賞圧勝で「世代G1・7勝」の快挙達成も…来年で早くも「ラストクロップ」、G1を勝つたびに抱かされる切ない思い
22日に行われた牡馬クラシックのラスト一冠・菊花賞(G1)は、4番人気ドゥレッツァ(牡3歳、美浦・尾関知人厩舎)が後続に3馬身半差をつけて圧勝した。
その立ち回りに驚かされたファンも多かっただろう。厳しいとされる大外17番枠を当ててしまったドゥレッツァと鞍上のC.ルメール騎手だったが、スタートすると積極果敢に先行。キャリア6戦目にして初となる逃げの手に出た。
ただ2周目の向正面では一旦3番手まで下がる。出入りの多い展開に苦戦するかとも思われたが、最後の直線に入りゴーサインが出ると再加速。ダービー馬タスティエーラ、皐月賞馬ソールオリエンスを置き去りにしてしまった。
「まさにルメール・マジックといえる騎乗でしたが、それに応えたドゥレッツァも見事でしたね。レース後には元JRA騎手の安藤勝己さんもSNSで『普通はあれで3000mなんか保たない』『文句なしの完勝』などと絶賛していましたよ」(競馬誌ライター)
またドゥレッツァの父である種牡馬ドゥラメンテの勢いも凄まじいものがある。
先週の秋華賞(G1)でも同産駒のリバティアイランドが単勝1.1倍に応えて牝馬三冠を達成。今年5月に開催されたNHKマイルC(G1)もシャンパンカラーが制している。これで今年行われた3歳限定G1は、7レース中5レースをドゥラメンテ産駒が勝利したことになった。
「昨年暮れの阪神ジュベナイルF(G1)とホープフルS(G1)も、ドゥラメンテ産駒のリバティアイランドとドゥラエレーデがそれぞれ優勝。この世代は2歳戦も含めると、世代限定G1・10レースのうち、実に7つをドゥラメンテ産駒が制したことになります」(同)
なおドゥレッツァやリバティアイランドは、種牡馬ドゥラメンテの3世代目にあたる。初年度産駒からはG1・3勝のタイトルホルダー、2世代目からも二冠牝馬のスターズオンアースなど、偉大な父は毎年のように名馬を送り出している。
来年で早くも「ラストクロップ」…
だが、ご存知の通りドゥラメンテは一昨年の夏にすでに他界。そのため来年デビューする5世代目が早くもラストクロップとなる。産駒がこれだけ素晴らしいパフォーマンスでG1を勝ちまくっていることを考えると、にわかに受け入れ難い事実であるといっていい。
「サンデーサイレンスは11世代目にディープインパクトを輩出。またそのディープも10世代目にコントレイルを送り出すなど、名種牡馬は大体10世代目あたりで後継代表となるような超大物を輩出している傾向があります。
それだけにドゥラメンテ産駒からも、これからドゥレッツァやタイトルホルダーを超えるような超大物が現れる可能性が十分あっただけに、つくづく早逝が残念でなりませんよ」(同)
ドゥレッツァが菊花賞を圧勝した後にはSNSやネット掲示板にも「ドゥラメンテが亡くなってるの本当に残念」「競馬界一の損失だろ」「来年で早くもラストとか切なすぎる」「生きてたらより多くの名馬が誕生していたはずなのに」といった行き場のない思いが書き込まれていた。
今後もドゥラメンテ産駒が強い競馬でG1を勝てば勝つほど、我々ファンは複雑な思いを抱くことになるのかもしれない。