リバティアイランド彷彿させる「4馬身差」の大楽勝…チームソダシに川田将雅でデビュー勝ち、「加速ラップ」を突き抜けた新星にクラシックの期待

川田将雅騎手 撮影:Ruriko.I

 アルテミスS(G3)を快勝したC.ルメール騎手とチェルヴィニアのコンビに注目の集まった先週末の土曜東京だが、同日の京都競馬場にも今後が楽しみなクラシック候補の1頭が登場した。

 その馬とは、先月28日に行われた5Rメイクデビュー京都(芝2000m)で鮮やかなデビュー勝ちを飾ったブエナオンダ(牡2、栗東・須貝尚介厩舎)のことである。

 1番人気こそミナデオロに譲る2番人気に留まったものの、終わってみればライバルを1秒1も置き去りにし、2着ガルバナムにも4馬身の差をつける大楽勝。ゴール前で流す余裕すらあったように、余力を感じさせる初陣だった。

 手綱を取った川田将雅騎手は「心も体もこれから成長していってくれれば」、管理する須貝調教師は「強い競馬でしたね。今日は順当に勝ててホッとしています」と期待通りの走りにまずは一安心といったところ。ただ、まだ気性的に幼いところもあるようで、来春のクラシックから逆算して調整を進める様子だ。

 道中の位置取りや進路についても、パートナーの能力を余すところなく発揮させようと試みた川田騎手の工夫が伝わる騎乗。金子真人オーナーの所有馬で須貝調教師の管理馬とくれば、白毛のアイドル・ソダシと同じチームでもあり、結果的に引退レースとなった今年の安田記念(G1)で手綱を任された川田騎手を起用したあたりも、ブエナオンダに対する期待の大きさの表れだろう。

「加速ラップ」を突き抜けた新星にクラシックの期待

「秋華賞(G1)と同じ京都の芝2000mで内回りということもあり、牝馬三冠を達成したリバティアイランドの走りを彷彿とさせるレースぶりでしたね。スタートを決めて好位に取りつくと、直線で外に出した後は突き放すだけ。

血統的に気性面の懸念から短距離で活躍の目立つリオンディーズ産駒であることは、陣営が幼さや折り合いに苦心している理由のひとつでもあるでしょう。それでもこの距離で安心して見られる走りを披露した訳ですから、ポテンシャルの高さは申し分なさそうです」(競馬記者)

 強調すべきはスタミナの不安を感じさせなかった点だ。なにしろラスト3ハロンのレースラップは11秒9-11秒6-11秒3と加速が続いての完勝。少なくともゴール前で一杯一杯になっている馬の末脚ではないはずだ。そのあたりは母父に名を連ねるディープインパクトの存在も関係しているかもしれない。

 まだ群雄割拠といった感じの2歳世代だが、抜けた馬が存在していないというより、全体的なレベルが高く粒が揃っている印象。これからデビューを控えている馬たちにも、クラシック候補の一角に名乗りを上げる素質馬が出てきそうな雰囲気だ。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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