【有馬記念】池添謙一「ジャーニーの子どもで勝ちたかった」イクイノックス強襲もあと一歩でついえた偉業…再び巡ってきたチャンスでリベンジの時

池添謙一騎手 撮影:Ruriko.I

「ジャーニーの子どもで勝ちたかった」

 今から約半年前の6月に行われた宝塚記念(G1)。レース後、『中日スポーツ』の取材に対しそう振り返ったのが、2着スルーセブンシーズ(牝5歳、美浦・尾関知人厩舎)に騎乗していた池添謙一騎手だ。

 池添騎手といえばソングラインで勝った昨年の安田記念(G1)をはじめ、G1・27勝を誇る一流ジョッキーだが、その最も象徴的な存在が2011年の三冠馬オルフェーヴルとのコンビだろう。

 同馬とは同年、牡馬クラシック三冠に加えて有馬記念(G1)も優勝し、JRA年度代表馬のタイトルを獲得。翌年も1番人気で宝塚記念を制すると、ラストランとなった2013年の有馬記念は8馬身差の大楽勝を飾った。コンビでG1・6勝を挙げ、ダービージョッキーの称号をもたらしてくれた、池添騎手にとってかけがえのないお手馬の1頭である。

 スルーセブンシーズの父ドリームジャーニーはオルフェーヴルの兄であり、本人も「ドリームジャーニーがいたから、オルフェーヴルが三冠を取れた」と語っているほど重要な存在だ。

 前走の中山牝馬S(G3)で初重賞制覇を飾ったばかりの10番人気で、春のグランプリ2着は大健闘と言えるだろう。ましてや1着は世界最強のイクイノックスだ。それでもレース後、池添騎手が天を仰いで「ちくしょう」「悔しい」と繰り返したのは、自身にとって大きな原点となるドリームジャーニーへ恩を返したい思いが強かったからだ。

 ちなみに池添騎手とドリームジャーニーのコンビは、2009年の宝塚記念を優勝。スルーセブンシーズで1着を取っていれば父子制覇の偉業にもなっていたのだが、最後の直線で進路を切り替えるロスなども響き、イクイノックスにクビ差まで迫ったものの、あと一歩のところで戴冠には届かなかった。

宝塚記念ゴール前 撮影:Ruriko.I

再び巡ってきたチャンスでリベンジの時

 それから約半年。24日に開催される有馬記念で、池添騎手にリベンジの機会がやってきた。

 スルーセブンシーズは前走の凱旋門賞(G1)で、主戦のC.ルメール騎手が騎乗していたのだが、有馬記念ではもう1頭のお手馬であるスターズオンアースに跨る影響もあって、池添騎手に再び手綱が回ってきたのである。

 今回は海外帰りの一戦となるスルーセブンシーズだが、13日の1週前追い切りでは美浦ウッドで同コースの自己ベストを更新。さらに進化を遂げてパワーアップしている印象だ。

 スルーセブンシーズが2着に敗れ、残念ながら春の宝塚記念の父子制覇は叶わなかった。だが、ドリームジャーニーと池添騎手は09年の有馬記念も優勝している。再びチャンスが巡ってきた池添騎手にとっても、ここは力の入る一戦となるに違いない。

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