2年目若手が「復活のルメール」を超える大躍進! 永島まなみは女性騎手初の快挙へ、岩田望来が告げた新時代【2023年ブレイクジョッキー】

 競馬界だけでなく、世間が有馬記念(G1)という国民的行事に向かっていく中、この今年の競馬もいよいよ大詰め。今週の開催を終えると、28日にホープフルS(G1)開催日を残すのみとなる。

 そこで少し気が早いが21日現在のリーディングを確認しながら、この2023年にブレイクしたジョッキーをピックアップしたい。

佐々木大輔騎手 撮影:Ruriko.I

佐々木大輔騎手 9勝→68勝

 今年のNo.1ブレイクは、2年目の佐々木騎手で文句なしだろう。1年目こそ新人王の今村聖奈騎手や、角田大河騎手らに圧倒される形で9勝止まりだった。しかし、5月に彼らのスマートフォン不適切使用が発覚し30日の騎乗停止処分に。世間では、そこに取って代わるように台頭したのが佐々木騎手という位置付けだが、競馬サークル内では今年の年初辺りから「乗れる新人がいる」と話題になり始めていた。

 無論、スマホ不適切使用の件が1つのきっかけになったことは間違いない。実際に佐々木騎手が一気にブレイクしたのが、5月の新潟開催から。4月開始までに8勝だったが、5月新潟だけで6勝を上積みし、開催リーディング争いも演じた。

 その新潟こそ、最終的に菱田裕二騎手に逆転を許したが、続く6月からの函館開催で開催リーディングをゲット。横山武史騎手を筆頭に武豊騎手など、ビッグネームも参戦した中での18勝はインパクト十分で「佐々木大輔」の名が全国の競馬ファンに轟いた。2年目の68勝は同じ関東の若手No.1横山武騎手以上。現在、重賞は未勝利だが、28日のホープフルS(G1)の騎乗が決まっているなど、来年以降は大きな舞台でその名を見る機会も増えそうだ。

ルメール騎手 撮影:Ruriko.I

C.ルメール騎手 109勝→161勝

 ブレイクを「昨年からの上積み」と捉えるのであれば、+52勝で現在リーディングを独走しているルメール騎手を挙げないわけにはいかない。

 昨年は新型コロナ騒動に巻き込まれるなど、どこかチグハグな1年だった。今年の成績こそがルメール騎手の平常運転ということになるのだが、567回から647回にアップした騎乗数も然ることながら、もっとも顕著なのが勝率で0.192から0.249まで大きく上昇している。2021年が0.248なので、これが本来の姿。JRA最強のジョッキーでもリズムに乗れなければ、好調を持続することは難しい。リーディングも5位から“定位置”の1位に帰ってきた。

 一方で、課題が浮き彫りになったのが、王座を明け渡すことが濃厚な2位の川田将雅騎手だろう。昨年は自身初となるリーディングの奪取に成功したが、ライバルが“平常”を取り戻すと“定位置”の2位に逆戻りしてしまった。ただし実は現在の147勝は、リーディングを獲った昨年の143勝をすでに超えている。来年も熱いバトルが今から楽しみだ。

永島まなみ騎手 撮影:Ruriko.I

永島まなみ騎手 21勝→48勝

 初年度7勝、2年目21勝と、ここまで着実に勝ち星を伸ばしてきた永島騎手。注目の3年目は、現時点で48勝と勝ち星を倍増させている。スマホ不適切使用で30日間の騎乗停止になった6名は苦戦が続いているが、そんな中で逆境を跳ね返したのは彼女の技術と人柄故だろう。10日の阪神ジュベナイルF(G1)では、待望のG1初騎乗も経験した。

 また、現時点の48勝はリーディング20位に該当。仮にこの順位をキープできれば、女性騎手として初のリーディング20位以内という快挙(昨年は今村騎手が惜しくも21位だった)になる。リーディング20位はJRAの公式ホームページ上でも最初の1ページ目に表示されるなど、紛れもないトップジョッキーの証。ここまで来たら、歴史にその名を刻んでほしい。

 今後は通算100勝に到達し、減量特典を卒業してからが本当の勝負になりそうだ。現在76勝で残り24勝だが、今の永島騎手なら、そう時間はかからないはず。来年はここまで順調にきた永島騎手の真価が問われる1年になりそうだ。

岩田望来騎手 撮影:Ruriko.I

岩田望来騎手 103勝→111勝

 今では関西の若手筆頭である岩田望騎手を挙げたのは、その「中身」に大きな変化があったからだ。

 岩田康誠騎手の息子としてデビューし、1年目から37勝で新人王。2年目に76勝と勝ち星倍増に成功し、その後もリーディングトップ10の常連になりつつある岩田望騎手。しかし、その一方で重賞など大きなレースになると、どこか精彩を欠いていた。大レースで圧倒的な勝負強さを誇る父、そして同時期に関東の若手として大ブレイクした横山武騎手が次々とG1を勝ったこともあって、岩田望騎手がより目立ってしまったというわけだ。

 しかし、「岩田望騎手は勝負弱い」という評価も今は昔だ。昨年、待望の重賞初制覇を飾ると、今年は重賞5勝を挙げる活躍。特筆すべきは、今夏のWASJ(ワールドオールスタージョッキーズ)で優勝したことだろう。

 国内だけでなく世界からトップジョッキーが集った騎手の祭典で、5年目の若手騎手の優勝は、まさに新時代の到来を告げるもの。確かな進化を遂げた岩田望騎手の次の課題は、ファン待望のG1制覇ということになるだろう。

GJ 編集部

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