世界のウシュバテソーロVS三冠馬ミックファイア! 東京大賞典(G1)に超豪華メンバーが集った理由
29日に大井競馬場で行われる交流重賞・東京大賞典(G1)。JRAの2023年度開催は28日のホープフルS(G1)開催日が最後だが、その翌日に行われる東京大賞典が実質的な競馬の“大トリ”を担っている。
そんな背景もあって毎年注目度の高い東京大賞典だが、今年は一際豪華なメンバーが集結した。今春のドバイワールドC(G1)を勝つなど、世界を戦ってきたウシュバテソーロに無敗の三冠馬ミックファイアが挑むという図式は、イクイノックスにリバティアイランドが挑んだジャパンC(G1)に勝るとも劣らない魅力に溢れている。
ただ、その一方で今年のジャパンCは最低人気だったクリノメガミエースが単勝878.1倍を記録するなど、メンバーに大きな格差があることもなった。イクイノックスやリバティアイランドがあまりにも強いため仕方ない部分もあったが、その点、今年の東京大賞典は脇役陣も、そう呼ぶにはもったいないほど充実している。
今秋にJBCクラシック(G1)を制したキングズソード、チャンピオンズC(G1)で2着したウィルソンテソーロなどは、主役を務めてもおかしくない強豪。今年重賞2勝のグロリアムンディ、チャンピオンズCで3着だったドゥラエレーデ、昨年の2着馬ノットゥルノなども、例年であれば上位人気の一角に名を連ねたはずだ。
最後までハイレベルなレースを観られることはファンとして嬉しい限りだが、その一方、これだけの豪華メンバーが集った背景には、ちょっとした事情もあるようだ。
東京大賞典(G1)に超豪華メンバーが集った理由
「今年の東京大賞典には、特殊な事情があります。それは『後に川崎記念(G1)が1月に控えていない』という点です。これまでは12月初旬のチャンピオンズC、下旬の東京大賞典、さらに1月下旬の川崎記念と約2か月間にダート中距離G1が密集し、どうしてもメンバーが分散する事情がありました。
しかし、JRAと地方競馬が協力してダート重賞路線を整備。来年から川崎記念は4月に移設されることになりました。その結果、ダート中距離路線のトップホースたちは、芝の有馬記念のように、東京大賞典を1年の締めくくりとして“全力投球”できるようになったというわけです」(競馬記者)
実は近年、川崎記念はメンバーレベルの低下が問題視されていた。
もともとJRAのフェブラリーS(G1)と近い時期にあるため、メンバーの分散化が懸念されていた川崎記念だが、そこにサウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場で行われるサウジC(G1)が登場。1着賞金1000万米ドル(約13億円)、賞金総額2000万米ドルというビッグドリームは、たちまち世界的注目を集め、日本からも多くの強豪馬が参戦するようになった。
川崎記念の4月移設は事実上、サウジCの開催時期を避けたことになる。だが、ダートの有力馬を抱える陣営にとって、毎年12月から2月に掛けての過密G1が緩和したことには前向きな意見も多い。
無論、4月に移設してもドバイワールドC(G1)という世界的レースと重なってしまうのだが、サウジCに挑んだ馬たちは続けてドバイへ向かうのか、それとも日本に帰って川崎記念に向かうのか選択肢を持つことができそうだ。