蹄鉄なしでも「そのまま出走」に賛否の声!? 令和のイソノルーブルに例えるファンも…「ルールに記載」でも納得いかないファンが多発のワケ

 11日、東京競馬場で行われた10RのバレンタインS(OP)を制したのは、9歳馬レッドヴェイロン。年齢的には高齢馬だが、最後の直線で見事に末脚を爆発。鮮やかな差し切り勝ちを決めた。

 前走の霜月S(OP)でアルファマムのアタマ差2着に惜敗したが、同じ東京のダート1400mの舞台で鬱憤を晴らす勝利。芝からダートに転戦して苦戦が続いていたものの、吉田豊騎手との相性もいいのだろう。近3走で3着→2着→1着と変わり身を見せている。

 また、このレースには霜月Sで接戦を繰り広げていたヘラルドバローズも参戦。レッドヴェイロンは6番人気、ヘラルドバローズは7番人気に支持されていたように、両者の実力が拮抗していると考えたファンも多かったはずだ。

落鉄してそのまま出走に納得のできないファンも

 しかし、レースで勝利したレッドヴェイロンに対し、ヘラルドバローズは見せ場もなく12着に大敗する対照的な結果。前走で同タイムのハナ差だった2頭としては、明暗が分かれた格好となった。

 その一方、敗れたヘラルドバローズが能力を発揮しきれていなかったという疑惑も浮上する。なぜなら、本馬はレース発走前に「右後肢を落鉄」しており、JRAから「蹄鉄の打ち直しをする」というアナウンスが出されたにもかかわらず、最終的に「そのまま出走します」と発表されていたからだ。

 敗因を振り返った騎手から、レース中に落鉄していたという説明を耳にすることもあるように、当然ながら蹄鉄はあった方がいい。一般的に蹄鉄は「靴」に例えられることが多く、「裸足」で走ったのでは能力を発揮しきれないという説もある。実際の因果関係については定かではないものの、一定の説得力は持つだろう。

 また、今回のヘラルドバローズについては、蹄鉄の打ち直しをしようにも馬が暴れてしまい、打ち直しが出来なかったことも一因であり、JRAとしてもやむを得ない判断だったということは察しが付く。

 こちらについてはJRAのホームページにも以下の説明が記されている。つまり、ルールで記載されている以上、ファンはそれを受け入れるしかないということである。

「なお、発走委員が必要と認めた馬は外枠から発走させることがあります。また、落鉄した場合は再装着を行いますが、馬の興奮等により再装着が不可能な場合は蹄鉄をつけないで出走させますので、あらかじめご承知おきください」

 とはいえ、レースのヘラルドバローズは後方でもがき、前走で差のなかったレッドヴェイロンから大きく離されての凡走。これを目にしたファンが落鉄に敗因を求めたのも自然の成り行きだったかもしれない。

「相手が生き物である以上、レース前やレース中のアクシデントまで予想しろというのは無理な話です。そもそも馬券を購入した後のタイミングで、外枠発走や蹄鉄の打ち直しがないまま走らせますと言われても、ファンに回避する手段は残されていません。

そう言った事象が確認できた後に除外や返還でもされればいいのですが、買った時と条件が異なるのであれば、負けると分かっているレースに不満が出るのは仕方ないでしょう。フェアじゃないという声があってもわからなくはないです」(競馬誌ライター)

 また、落鉄が話題となったこの一件に対し、1991年の桜花賞(G1)で同じく事前に落鉄が分かったままレースで走ったイソノルーブルを思い出すファンもいたようだ。このときは蹄鉄の打ち直しに失敗したことのアナウンスがされなかったということでJRAの判断に非難が集中。ファンがJRAに損害賠償を求める民事訴訟を起こす事態にも発展した。

 ヘラルドバローズとの違いについては、事前にアナウンスされたかどうかが大きい。いずれにしても根本的な解決をしたのかといわれると何とも言えない上に、後味の悪さが残ったことは確か。だからといって、「文句があるなら競馬をやるな」といわれたら元も子もない。主催者が絶対的な権力を持っている以上、そこは甘んじて従うのが大人のやり方といったところか。

 先日の東京新聞杯(G3)で他よりもゲートの開きが遅かったマスクトディーヴァについてもそうだが、SNSで愚痴をこぼすくらいは許されていいかもしれない。

GJ 編集部

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