「すべて師匠のおかげです」障害の名手が師匠の引退レースに意欲…師弟愛で平地重賞初制覇なるか!?

撮影:Ruriko.I

 24日の小倉4R障害4歳上未勝利(障2860m)で森一馬騎手(栗東・松永昌博厩舎所属)がJRA障害競走通算100勝に到達した。この記録は史上30人目、現役では7人目の快挙。1日の開催で1鞍か2鞍しかない障害レースで100勝を挙げるのは並大抵のことではない。

 インタビューで「100勝という数字はそこまで意識していなかったんですけど、近づくにつれて周りの方から声をかけていただいて、応援していただいているんだと実感していました」「ゴールするたびに思うのですが、馬に対して、ありがとう、よく頑張ってくれたねという気持ちですね」と笑顔で語った。

 その一方で名実ともに障害のトップジョッキーも、ここまでの道は順風満帆ではなかった。

 2012年、調教中に生死を彷徨う大怪我。医者からも歩けるようになるのに1年かかり、下半身に麻痺が残る可能性があると言われるほどの怪我を負ったが約2か月半で復帰し順調に勝ち星を積み重ねた。

 そして2019年から3年連続でJRA賞最優秀障害騎手を受賞。 授賞式のコメントでは「ジョッキーとしては身長が高く、体重を維持するのに苦労した」と振り返るとともに、松永昌厩舎が食事や競馬の心掛けについてもサポートしてくれたことへの感謝の気持ちも忘れなかった。

 そんな森一騎手だが最後に大仕事を任されている。デビューから所属した厩舎だが、松永昌師が定年のため、3月3日の競馬を最後に引退する。そして、師匠から愛弟子に最後の重賞競走の手綱を託されたのだ。

 そのレースとは、29日にラプタス(セ8、栗東・松永昌博厩舎)とのコンビで挑むかきつばた記念(G3)だ。パートナーは同レースを20年、21年に連覇と実績は十分だ。

 障害では重賞11勝を挙げている名手の森一騎手だが平地重賞は未勝利。師の花道を優勝という形で飾れるか注目したい。

「今の自分があるのは、すべて師匠の松永昌博先生のおかげです。大事な馬の騎乗依頼をいただいて、うれしく思うのと同時に、これまでの恩と感謝の気持ちを結果で返したいです」と意欲を見せていただけに注目の一戦となりそうだ。

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