「大躍進」のスワーヴリチャードに引けを取らない名種牡馬!?「海外制覇」フォーエバーヤングの活躍から見えるリアルスティール産駒の可能性
昨年大ブレイクした種牡馬と言えばスワーヴリチャードだろう。初年度産駒からホープフルS(G1)を制したレガレイラや、京王杯2歳S(G2)を制したコラソンビートらを輩出。中央2歳リーディングではいきなり3位にランクインするなど話題に事欠かなかった。
華々しい初年度成績から市場評価もうなぎ登り。今年の種付け料が200万円から1500万円まで急騰したものの、それでも満口と引っ張りだこの様子だ。
そんなスワーヴリチャード大躍進の陰で、好成績を収めつつもなかなかスポットライトが当たらなかった種牡馬が1頭いる。それがスワーヴリチャードの1年先輩にあたる種牡馬リアルスティールだ。
リアルスティールの種付け料は300万円で、スワーヴリチャードと比較すると実に5倍もの差がある。種付け料では圧倒的に差をつけられているものの、リアルスティール産駒もスワーヴリチャード産駒に負けず劣らずの活躍を見せている。
実は2歳世代(JRA)の勝率を比較すると、スワーヴリチャード産駒は16.6%、リアルスティール産駒は17%と引けを取らない。勝馬率も32.3%に対して33.1%と互角以上の好成績を収めているのだ。
リーディングはあくまで産駒の総獲得賞金のため、スワーヴリチャード産駒はホープフルSを制したレガレイラらなど、重賞戦線での活躍が大きかったと言えるだろう。
昨年のリアルスティール産駒は3歳世代までしかいなかったものの、全年齢勝率も11.9%とかなり高い。これはリーディングトップを争うロードカナロアの9.4%やキズナの10.7%をも上回っている。
リアルスティールは初年度産駒のデビューから3年経過していないため、種牡馬成績が繁殖牝馬の質に反映されていないこともビハインドがある。その段階で上記の数字を出せるのは非常に優秀である。
そんなリアルスティール産駒初のG1馬は2年目産駒のフォーエバーヤングだ。初年度産駒からレガレイラを送り出したスワーヴリチャードに後れを取ったものの、それでもかなり早い段階でG1馬の父になっている。
先日、フォーエバーヤングは初海外遠征となるサウジダービー(G3)を勝利。この活躍にはリアルスティール産駒の秘めるダート適性も伝わる。
リアルスティールは2016年ドバイターフ(G1)を、全妹ラヴズオンリーユーも21年にクイーンエリザベス2世C(G1)とブリーダーズCフィリー&メアターフ(G1)、香港C(G1)の海外G1を制覇。環境の変化に動じない精神力の強さも、この血統の特徴のひとつなのかもしれない。
フォーエバーヤングの登場で芝ダート兼用の種牡馬としても注目されるリアルスティール産駒。数字的にも昨年のダート勝率は10.8%で、これはダートトップ種牡馬のヘニーヒューズ(勝率11.2%)やドレフォン(勝率11.8%)と遜色がない。今後ダート適性を見込んだ配合が増えれば、ダートのリーディング上位にリアルスティールの名前が並ぶことも十分に考えられる。
海外のビッグレースへの挑戦や、ダート馬のレベル向上など着実に変化を迎えつつある日本競馬。その時代の流れの中で、ウシュバテソーロを出したオルフェーヴルに続いてリアルスティール産駒のフォーエバーヤングが海外のダートで結果を出したことは嬉しい誤算といえそうだ。