「油断騎乗」疑惑の敗戦喫した腕利きが「名誉挽回」の好騎乗!「乗りづらいところがある」C.ルメールも苦戦の癖馬で3年ぶりの重賞制覇
16日に行われたファルコンS(G3)は、ダノンマッキンリー(牡3歳、栗東・藤原英昭厩舎)と北村友一騎手のコンビが鮮やかな後方一気を決めて優勝した。
「上手く折り合って運べて、しっかり力を出し切ってくれたと思います」
そう振り返った北村友騎手とは今回が初コンビだったダノンマッキンリー。同馬は父モーリス、母は英国G1馬ホームカミングクイーンという良血で、一昨年のセレクトセールにおいて2億2000万円という高値で取引された。その評価通りにデビュー2連勝を遂げた期待の血統馬である。
しかし、3戦目の朝日杯フューチュリティS(G1)を3番人気8着に敗れ初黒星。巻き返しが期待された前走クロッカスS(L)でも1番人気に応えられず5着と2連敗。前走は道中で折り合いを欠く場面も見せており、今回は7番人気と一気に評価を落としていたが、それを覆しての初重賞勝利となった。
「クロッカスSのレース後には騎乗したC.ルメール騎手が『道中、冷静に走れません』『レースに行くと乗りづらいところがあります』と話していましたが、リーディングジョッキーでも折り合いに苦戦したダノンマッキンリーを北村友騎手はテン乗りで乗りこなし重賞制覇に導いたのですから見事ですよね。
同馬はここまでの3勝はすべて1400mですが、今日のように後方で折り合う競馬ができれば1ハロンの距離延長もこなしてくれると思います。春の3歳マイル王決定戦・NHKマイルC(G1)でも面白い存在になるでしょう」(競馬誌ライター)
殊勲の北村友騎手は2021年5月に落馬で大怪我を負い戦線離脱を余儀なくされたこともあり、今回は同年2月の阪急杯(G3)以来となる、およそ3年ぶりの重賞制覇。かつてG1・4勝馬クロノジェネシスの主戦も務めた腕利きにとって喜びもひとしおであることは当然だが、この勝利には別の意味でも胸をなで下ろしたかもしれない。
同じ藤原英昭厩舎の管理馬で騎手としての注意義務を怠り…
「北村友騎手といえば、10日の中京5Rのゴール前で追う動作を緩めたところ、オールセインツの強襲に遭い半馬身差の2着に敗れてしまいました。
いわゆる油断騎乗のようなものであり、レース後にはJRAから『明確に着順に影響があったとは認められないものの、騎手としての注意義務を怠ったもの』と判断され、開催2日間の騎乗停止処分を受けています。
この時に騎乗していたアスクカムオンモアは、ダノンマッキンリーと同じ藤原厩舎。今回の勝利は、北村友騎手としても思うところがあったかもしれませんね」(競馬記者)
ちなみにダノンマッキンリーを管理する藤原厩舎にとっても、今回の勝利はおよそ1年10ヶ月ぶりとなる重賞タイトル。迷惑をかけてしまった北村友騎手としては、まず1つ名誉挽回の好騎乗となったのではないか。
「今後も折り合いが一番。スムーズに走れれば力を出し切れると思います」
レース後にはダノンマッキンリーについてそう語った北村友騎手。久々の重賞勝利を皮切りに、春のG1戦線でクロノジェネシスと制した2020年の有馬記念(G1)以来となるビッグタイトルを狙っていきたい。