三浦皇成「何もできなかった」絶望の34.6秒。「本当に申し訳ない」リベンジの機会もすれ違い…遠ざかる悲願のG1制覇
復活の重賞勝利を飾った北村友一騎手、その一方で…
16日、中京競馬場で開催されたファルコンS(G3)は、7番人気のダノンマッキンリー(牡3歳、栗東・藤原英昭厩舎)が勝利。鞍上の北村友一騎手にとっては、2021年の阪急杯(G3)以来、約3年1か月ぶりとなる嬉しい重賞勝利となった。
「上手く折り合って、しっかり力を出し切ってくれました」
かつては新進気鋭の若手騎手として、クロノジェネシスとのコンビで競馬界を席巻した北村友騎手。しかし、2021年の5月に落馬して背骨が8本も折れる大怪我を負うと、1年以上の休養を余儀なくされた。今回は復帰後、初の重賞勝利となる。元々は大レース常連の名手の1人、完全復活へ春のG1シーズンに向けて大きな弾みがついたはずだ。
その一方で、春の大舞台に……いや、悲願のG1初制覇へ小さくはない不安が残ったのが、ロジリオン(牡3歳、美浦・古賀慎明厩舎)に騎乗していた三浦皇成騎手だ。
2番人気で5着と、結果だけを見れば決して悪いものではない。だがレース後、三浦騎手の口からは「何もできなかったです」「本当に申し訳ない」と沈痛なコメント。それもそのはず、手応え抜群で最後の直線を迎えたロジリオンだったが、進路を見つけ出すことに苦労し、ようやく馬群を抜け切ったところがゴールという不完全燃焼に終わったからだ。
「本人も『前半のペース次第では窮屈な競馬になりそう』と警戒していましたが、1枠1番からの競馬が、モロに悪い方に出てしまった感じですね。最後の直線では、完全に前が壁といった状況で、三浦騎手もほとんどまともに追うことができませんでした。
記録した上がり3ハロンは勝ったダノンマッキンリーから1秒も遅い34.6秒でしたが『まともなら……』と思ってしまう手応え。最後の最後でソンシ(3着)の後ろから上手く抜け出したのですが、残念ながら時すでに遅しでした」(競馬記者)
また、レース後には先週のフィリーズレビュー(G2)で、同じ1400mの重賞を1枠1番から2着したコラソンビートと比較する声もあった。というのも、コラソンビートとロジリオンは昨年11月の京王杯2歳S(G2)でワンツーゴールした、世代でも屈指の1400mのスペシャリスト同士だからだ。
次走、NHKマイルCでリベンジかと思いきや
「フィリーズレビューのコラソンビートも1枠1番の難しい枠でしたが、横山武史騎手が上手く内々を回って、最後の直線でも早めに進路を確保する2着。向上心の強い本人は『前哨戦をしっかり勝ち切りたかった』と不満を漏らしていましたが、もともと賞金面で問題がない立場ですし、桜花賞(G1)へ向けて上々の内容だったと思います。
一方のファルコンSのロジリオンは、逆に1枠1番が裏目に出てしまった格好ですが、もともと京王杯2歳Sでも馬群を捌くのに苦労していた通り、あまり器用な馬ではないのかもしれません。ダッシュ力があまりないので後ろになる分、乗り難しい馬ですし、今回の三浦騎手も不運な面があったと思いますけどね」(別の記者)
ちなみにロジリオンは、1400mのクロッカスS(L)を勝った際に三浦騎手が「距離は延びても良さそう」とコメントしていたこともあって、5月のNHKマイルC(G1)を目標にしている。三浦騎手にとっては汚名返上の騎乗が期待されるところだが、本騎手は前日に米国で開催されるケンタッキーダービー(G1)にラムジェットと参戦する見込みだ。
「ペースが遅くなり、4コーナーから行くところがなく、何もできなかったです。(進路が)開いていれば……」
レース後、そう唇を噛んだ三浦騎手だが、残念ながらリベンジの機会は先延ばしになってしまいそうだ。競馬ファンの間でも度々話題になる悲願のG1制覇へ、この春こそは大輪の花を咲かせたい。