レガレイラか、シックスペンスか…皐月賞(G1)C.ルメールぐらり!? 安藤勝己氏「後ろ髪を引かれる勝ち方」超G1級シックスペンスが受け継いだキタサンブラックらの伝説
最後のトライアルで登場した、皐月賞の主役!
17日、中山競馬場で行われたスプリングS(G2)は、1番人気のシックスペンス(牡3歳、美浦・国枝栄厩舎)が圧勝。皐月賞(G1)へ向け、堂々の勝ち名乗りを上げた。
「もしかしたら……」そう思わせる勝ちっぷりだった。
10頭立て、芝1800mのレース。上手くゲートを飛び出したシックスペンスは、ハナを主張したアレグロブリランテを行かせる形の3番手からの競馬。鞍上のC.ルメール騎手が逃げ集団を可愛がると、ペースは1000m通過が63秒1という超スローに落ち着いた。
そうなると、最後は当然瞬発力の勝負となるわけだが、ここからはまさにシックスペンスの独壇場だった。最終コーナーを楽な手応えで先頭集団に並びかけると、最後の直線では後続を引き離す一方……。結局、ルメール騎手はムチを封印したまま、最後は流すようにゴールした。
「非常に強い競馬でしたね。6番人気までが単勝10倍以下という今年のスプリングSでしたが、終わってみればシックスペンスの1強だったと思います。(レースを見守った)国枝調教師は『オーナーサイドと協議してから』と皐月賞出走を明言しませんでしたが、ルメール騎手も『2000m以上もいける』と話していましたし、これは混戦模様だった牡馬クラシック戦線に『主役が登場した』と言っても過言ではないかもしれません。それくらいのパフォーマンスでした」(競馬記者)
昨年末のホープフルS(G1)を牝馬のレガレイラが勝利し、朝日杯フューチュリティS(G1)の覇者ジャンタルマンタルが共同通信杯(G3)で敗戦。弥生賞ディープインパクト記念(G2)でもホープフルSの2着馬シンエンペラーがコスモキュランダに脚をすくわれて2着に敗れるなど、記者が話した通り、まさに混戦模様だった今年の皐月賞。
しかし、今回シックスペンスが見せたパフォーマンスは、出来上がりつつあった勢力図を一気に書き換えるものかもしれない。
「(シックスペンスが皐月賞で通用するか)ポイントになるのが、今回が1000m通過63秒1という超スローペースだった点になると思うのですが、シックスペンスは逆にもともとがマイルで2連勝してきた馬。本番でのペースアップを懸念するよりも、どちらかと言えばスローペースにも対応できたという収穫の方が大きいと思います。
東京2400mの日本ダービー(G1)は(距離が大丈夫か)まだわかりませんが、3戦3勝の中山で行われる2000mの皐月賞は、むしろ絶好の舞台になるかもしれません」(別の記者)
レガレイラか、シックスペンスか…ルメール騎手の答えは
各記者がシックスペンスを絶賛するのも当然か。現行の芝1800mで行われるようになった1960年以降、スプリングSを無敗で制した馬は昨年のベラジオオペラまでで11頭。その内、キタサンブラックなど9頭が後にG1(グレード制導入前のG1級を含む)を制覇している。
それも1960年のコダマ、64年のシンザン、73年のハイセイコー、74年のキタノカチドキ、85年のミホシンザン、92年のミホノブルボンは次走に皐月賞を制覇するなど、抜群の相性は歴史が証明している。
「ペースが速くないので早めに外に出したら、反応がすごかった。距離は延びても、問題ないと思う。とても乗りやすい」
一方、この勝利で「これから」が注目されるのが、シックスペンスをそう絶賛するルメール騎手の動向だ。
というのも、ルメール騎手は昨年末のホープフルSをレガレイラで勝利し、すでに皐月賞へ直行することが所属するサンデーレーシングから発表されているが、実は元JRA騎手の安藤勝己氏がX(旧Twitter)で『皐月賞のルメールはレガレイラに乗るんでしょ?』とポストしている通り、そこにルメール騎手が騎乗するとは明言されていないのだ。
「(これで)3戦3勝。能力がたくさんありそう。楽に伸びてくれた。すごくいい競馬でした」
そう最後まで賛辞を並べ続けたルメール騎手は、果たして皐月賞でもシックスペンスに騎乗するのだろうか。レガレイラとのコンビが既定路線ではあるが、「シックスペンスは後ろ髪を引かれる勝ち方やった」と話すのは安藤氏だ。クラシックの勢力図が大きく書き換わるかもしれない。