武豊も気付いていた「Vルート」が最内に出現!マッドクール、ナムラクレアが激闘も…「外枠全滅」高松宮記念に不公平感ありあり?

撮影:Ruriko.I

 雨の桶狭間決戦には、やはり波乱の結末が待っていた。

 24日、中京競馬場で開催された春のスプリント王決定戦、高松宮記念(G1)は、坂井瑠星騎手が騎乗した6番人気のマッドクール。8着に敗れた昨年12月の香港スプリント(G1)以来のレースとあって、発表された540キロの馬体重は前走から18キロ増となるデビュー最高体重でもあった。

 前走で減っていた馬体を戻したとはいえ、3ヶ月の休み明け。重賞未勝利馬が大金星を手に入れると信じたファンは、それほど多くなかったかもしれない。

 ただ、パートナーの能力を信じた主戦の坂井騎手の好騎乗も光った。1枠2番からスタートを決めると、逃げた香港のビクターザウィナーと2番手につけたウインカーネリアンの直後の3番手を追走。最後の直線でも内ラチに張り付くようにしっかり伸びた。ゴール前で猛然と追い上げたナムラクレアの底力も素晴らしかったが、何とかアタマ差だけ凌ぎ切った。

内の馬しか伸びなかった今年の高松宮記念

 もちろん、人馬一体で勝利を掴んだ坂井騎手とマッドクールの走りは素晴らしかったものの、G1レースとしては内外の馬場に不公平感があったように思う。

 終わってみれば、1枠2番のマッドクールが1着で2枠3番のナムラクレアが2着。レースをご覧いただいた方ならわかると思うが、どちらも最内から末脚を伸ばしていた馬である。結果的に好走した馬が強いことは間違いないのだが、2頭がもし外枠に入っていたら同じように走れたのかというと、少々疑問が残る馬場状態でもあった。

「この日の中京は最内に“グリーンベルト”でもあるのかと疑いたくなる馬場でした。当日の8Rと9Rでも武豊騎手の騎乗馬がインベタで逃げてそのまま押し切り。道中のラップも超スローという訳でもなくイーブンでしたから、この時点でもう高松宮記念は内を通れる馬しか好走できなさそうな雰囲気でした。

3着ビクターザウィナー、4着ウインカーネリアンは逃げ馬なので外から内に移動できたのがよかったですね。上がり3ハロン最速をマークしたのもナムラクレアですし、マッドクールも2位タイ。極端な話をすると枠順が発表された時点で勝負が決まっていたようにも感じます」(競馬記者)

 前後半3Fのラップを確認してみると34.9-34.0のスローペース。しかも内を走ったナムラクレアが33秒2でマッドクールは33秒7。これでは外を回した馬が全滅したのも無理はなかったか。一言でいうと内しか伸びなかった。馬場が味方したことについては運も実力の内ともいえる。

 その一方で、マッドクールやナムラクレアにとって、真価を問われるのが秋のスプリンターズS(G1)だろう。両馬がスプリント路線でトップクラスの実力馬だったことは、戦前から分かっていた話。偶然の好走ではなかったことを次走でも証明したいところだ。

GJ 編集部

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