【高松宮記念】浜中俊「41連敗」でナムラクレアの悲願達成はお預け…上がり最速33秒2も勝負どころで痛恨ロス、負かした2頭がG1初制覇の厳しい現実

坂井瑠星騎手 撮影:Ruriko.I

 混戦模様だった今年の高松宮記念を制したのは、坂井瑠星騎手が騎乗した6番人気の伏兵マッドクール。坂井騎手もこれで5勝目のJRA・G1タイトルを手にした。先月は無敗の快進撃を続けるフォーエバーヤングとのコンビでサウジダービー(G3)も制覇。今最も勢いのある若武者といえるだろう。

 昨秋のスプリンターズS(G1)は、ママコチャのハナ差2着。レースを振り返った坂井騎手も「去年の秋に悔しい思いをしたので、ここでリベンジすることができて、本当に嬉しいです」と感無量だった。

 勝利騎手インタビューで「一番理想的なポジション」「直線も内ラチ沿いギリギリを攻めていって、思い通りのレース」と話していた通り、完璧なエスコートでパートナーを勝利へ導いた。

快進撃続く坂井騎手と浜中騎手の不運

浜中俊騎手 撮影:Ruriko.I

 そんな坂井騎手に対し、あと一歩のところで悲願のタイトルを取り逃がしたのが、アタマ差の2着に敗れたナムラクレアに騎乗した浜中俊騎手である。

「思い切って内を突いていきましたが、あと一歩のところでした。常に一生懸命走ってくれる馬で、結果を出すことが出来ず、悔しい思いで一杯です」

 浜中騎手に悔いが残ったのも当然だ。道中は内にピッタリつける中団から末脚勝負。最後の直線でも33秒2の鬼脚を伸ばして脚色は完全に上回った。だが、非情にも勝ち馬は先にゴールしており、掲示板にはアタマの文字が表示された。

 2022年の秋華賞(G1)で初G1勝利を挙げた坂井騎手が順調にG1タイトルを重ねているのに対し、浜中騎手は19年の日本ダービー(G1)を最後にJRAのG1レースは、これで41連敗。気が付けば5年近くも勝利の女神にソッポを向かれている状況だ。

 ただ、高松宮記念のナムラクレアに関しては、浜中騎手のツキのなさも気になった。勝負ごとにタラレバは禁物だが、結果的に勿体ないシーンもあった。

「この日伸びていた内ラチ沿いピッタリにつけた進路取りはさすがだったと思います。中途半端に外を回さないで腹を決めた好判断だったでしょう。惜しむらくは最後の直線で一度態勢を立て直したことです。

粘り込みを図るマッドクールを追撃した際、右鞭の入ったナムラクレアは左に寄れていたんです。そこからまた右に移動して追い掛けたのですが、また右鞭を入れて内に寄れてしまいました。そこからまた右に移動したようにジグザグ走行のようになったんです」(競馬記者)

 浜中騎手も命懸けで騎乗しているため、一瞬の判断を求められるタイミングだが、まっすぐ走らせることができていたらと感じられるシーンだったかもしれない。

 また、浜中騎手だけでなくナムラクレアも厳しい現実に向かうこととなった。中京開催だった昨年のシルクロードS(G3)を快勝した本馬だが、このレースの2着が昨年の高松宮記念を優勝したファストフォースであり、3着が今年優勝のマッドクールだったのだ。

 後の高松宮記念馬2頭を昨年のシルクロードSで退けながら、自身はまたしても栄冠に手が届かなかった。G1を勝てるだけの力があることは証明しているだけに、悲願達成は浜中騎手の手腕にかかっているといえそうなナムラクレア。次のG1で今度こそリベンジを成功させてほしいものである。

GJ 編集部

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