ダービー「当確級」の逸材が皐月賞参戦!過去にキズナ、シャフリヤールらが条件クリア、浜中俊VS坂井瑠星の「第2ラウンド」も勃発?
23日の毎日杯(G3)で6馬身差の圧勝劇を飾ったメイショウタバル(牡3歳、栗東・石橋守厩舎)が、浜中俊騎手との再コンビで来月14日の皐月賞(G1)に向かうことが分かった。
同馬は予定していたスプリングS(G2)をフレグモーネで回避。やや順調さを欠いた臨戦過程だったが、果敢にハナを奪うと後はメイショウタバルの独壇場。勝負どころの3~4コーナーでも脚色は一向に衰えず、最後の直線では後続が追い上げるどころか離される一方となったのも無理はない。
何しろ先頭を走っている逃げ馬が、上がり3ハロン最速の34秒4の末脚を使っていたのだから……。3着に入ったベラジオボンドですら35秒1では、他馬に付け入る隙はなかった。道中2番手から2着に粘り込んだノーブルロジャーも無敗でシンザン記念(G3)を制していた実力馬だっただけに、衝撃的な大楽勝といえる。
また、メイショウタバルの類稀な実力を証明したのは、6馬身差という着差だけではない。勝ち時計1分46秒0は、阪神・芝1800mで開催された毎日杯でレコードホルダーのシャフリヤールに次ぐ歴代2位タイの好タイム。過去、1分46秒2以内で走破した馬は4頭しかおらず、ほかにはディープスカイ(08年)とキズナ(13年)しかいない。
しかも、彼らが良馬場でマークしていたのに対し、今年のメイショウタバルは時計を要する重馬場。いかに中身の濃い勝ちっぷりだったのか、察しが付くだろう。
「父がゴールドシップ、母父にフレンチデピュティと重の鬼といえる血統も後押しとなったかもしれません。ですが、ただの重巧者ならここまで速いタイムで走れないでしょう。
それを証明するのが好タイムで優勝したディープスカイ、キズナ、シャフリヤールです。これら3頭の共通点は良馬場の毎日杯を1分46秒2以内で勝利し、その後ダービー馬に輝いたことです。それを重馬場でマークした訳ですから、今年のメイショウタバルもデータ上ではダービー馬の条件をクリアしたといっていいでしょう」(競馬誌ライター)
メイショウタバルを管理する石橋師は「使った後も変わりない。中2週で間隔が詰まるので体調を整えていきたい」「浜中騎手もこれまで乗って分かってくれている」と一冠目に向けて手応えは十分。当日は父ゴールドシップとの皐月賞親子制覇も期待がかかりそうだ。
坂井瑠星VS浜中俊「第2ラウンド」勃発か…
そんな新星メイショウタバルの皐月賞参戦を一番脅威に感じているのは、毎日杯で同馬の手綱を取っていた坂井瑠星騎手かもしれない。
浜中騎手が同日の日経賞(G2)でボッケリーニに騎乗していたため、代打のような形でメイショウタバルを勝利へと導いたが、この圧勝劇には本人も度肝を抜かれたはず。毎日杯のレースコメントで「本当に強い内容。この相手にこれだけ着差をつけたのですから、今後が楽しみ」とパートナーを絶賛したものの、坂井騎手はすでに皐月賞で自厩舎のシンエンペラーとコンビを組むことが発表済でもあった。
ただシンエンペラーは昨年のホープフルS(G1)2着に好走した牡馬クラシック有力馬の1頭。前哨戦の弥生賞ディープインパクト記念(G2)こそ2着に敗れたが、管理する矢作芳人調教師が「本番を見据えた仕上げだった」「次が楽しみ」と話しておりあくまで前哨戦仕様。使われた上積みを考えれば、坂井騎手の騎乗次第で師弟コンビによる悲願のJRA・G1初制覇も視野に入る。
しかもメイショウタバルに騎乗する浜中騎手は、坂井騎手がマッドクールで勝利した24日の高松宮記念(G1)で僅差の2着と涙を呑んだナムラクレアに跨っていた相手。浜中騎手はレース後「結果を出せなくて、悔しい思いで一杯です」と無念さを滲ませており、有力馬との再コンビが決定したG1の舞台でリベンジにかける意気込みはひときわ強そうだ。
メイショウタバルの参戦で坂井瑠星VS浜中俊の第2ラウンドも勃発しそうな今年の皐月賞。ここにきて一気に面白みが増してきた。