【桜花賞(G1)展望】「レコード2歳女王」アスコリピチェーノ VS 「アルテミスS完勝」チェルヴィニア!栗東滞在効果で関東馬がワンツー決める?
グレード制導入後初の関東馬ワンツー決着も?
4月7日、阪神競馬場では3歳牝馬クラシックの第1弾、桜花賞(G1)が行われる。今年はグレード制導入後初めての関東馬によるワンツー決着もありそうだ。
昨年の阪神ジュベナイルF(G1)を無傷の3連勝で制した2歳女王アスコリピチェーノ(牝3歳、美浦・黒岩陽一厩舎)が今年の初戦を迎える。
昨年6月の東京芝1400mでC.ルメール騎手を背にデビューしたアスコリピチェーノ。同レースでは中団後方から一気の伸び脚で初陣Vを飾り、能力の高さを示した。
その後は距離を延ばして新潟2歳S(G3)へ。鞍上を北村宏司騎手にスイッチすると、ここでも1番人気の支持を受けた。レースでは中団やや前目の5番手からの競馬。新潟外回りの長い直線で外目から脚を伸ばすと先頭でゴールを駆け抜け、北村宏騎手に5年ぶりの重賞制覇を贈った。
続いてアスコリピチェーノが矛先を向けたのが阪神JF。6頭が単勝10倍以下という拮抗ムードの中、5.9倍で3番人気に推された。
スタートでやや後手を踏んだ前走から一転、アスコリピチェーノは好発を決めると、ちょうど中団を追走した。馬群の中でやや窮屈になる場面もあったが、最後の直線でうまく外に持ち出されると、コラソンビートと激しい追い比べを展開。最後は内から鋭く迫ったステレンボッシュをクビ差しのいで、見事に2歳女王の座に就いた。勝ちタイムの1分32秒6はレースレコードのオマケ付きだった。
年が明けて1月下旬には北村宏騎手とのコンビで桜花賞直行が発表された。ところが2月下旬に放牧先のノーザンファーム天栄で熱発。その影響で帰厩が予定より遅れたが、美浦を経由して栗東へ移動している。栗東滞在で連勝を4に伸ばすことができるか。
同じく関東馬で栗東滞在中のチェルヴィニア(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎)。アスコリピチェーノと人気を分け合うことになりそうだ。
昨年6月の2歳新馬で1番人気に推されたが、この時はボンドガールに完敗。2戦目となった夏の新潟で6馬身差をつけて順当勝ちを収めた。
そして陣営が矛先を向けたのは2歳牝馬にとって出世レースでもあるアルテミスS(G3)。良血サフィラを筆頭に手強いメンバーがそろったが、1.5倍の断然人気に推されたのはチェルヴィニアだった。
スタートでやや遅れたが、すぐに盛り返してちょうど中団の位置を確保すると、手応え抜群のまま4コーナーを向いて直線へ。ところが直線の入り口で前が壁になって鞍上のルメール騎手はなかなか追い出せず。そんなチェルヴィニアを尻目に外にいたサフィラが先に抜け出しを図った。
ワンテンポ遅れてようやく進路を確保したチェルヴィニア。ルメール騎手が気合をつけると、徐々に前の馬との差を詰めていった。残り200m地点でサフィラに並びかけ右ムチが1発入ると、もう1段ギアが上がり鋭伸。最後はサフィラに1馬身3/4差をつけてゴールに飛び込んだ。
その後は阪神JFに向けて調整されていたが、左後肢の違和感で同レースを回避。ノーザンファーム天栄で調整されていたが、1月に早くも桜花賞の直行が決定。栗東で追い切りを重ねている。
迎え撃つ関西勢も素質馬揃い
対する関西馬にも勝利を意識できる素質馬がそろっている。
その代表格がグレナディアガーズの半妹クイーンズウォーク(牝3歳、栗東・中内田充正厩舎)だろう。
20年の2歳マイル王を兄に持つ良血馬は、昨秋のデビュー戦で2着に惜敗したものの、その後は2連勝中。昨年末の2歳未勝利で2馬身差の完勝を収めると、短期放牧を挟んで、クイーンC(G3)で格上挑戦を果たした。
初の長距離輸送、初の左回り、初のマイル戦と初物づくしだったが、堂々と1番人気に推された。13頭立ての大外枠から好スタートを切ると、序盤は無理をせず後方待機。11秒台が続く淡々とした流れの中、末脚をじっくりと温存すると最後の直線へ。
ロスなく外目に進路を取ると、残り400mを切った辺りでエンジン点火。残り100mで先頭に立ち、内から迫るアルセナールと外から追い込んだルージュスエルテの追撃を退けた。
鞍上はデビューから手綱を取っている川田将雅騎手。22年スターズオンアース、23年リバティアイランドに続く桜花賞史上初の3連覇も視界に入っている。
上位人気が予想される有力馬の中で最もキャリアを重ねているスウィープフィート(牝3歳、栗東・庄野靖志厩舎)も怖い存在だ。
デビューから永島まなみ騎手が手綱を取り5戦1勝。6戦目となった前走のチューリップ賞(G2)で初めて武豊騎手が跨って見事に一発回答で応えてみせた。
「最後の直線でどれだけ脚を使えるかなと思っていましたが、思っていた以上でした」「こちらの思っている以上の切れ味を持っていました」と、レジェンドが絶賛した末脚は、まさに祖母スイープトウショウ譲りといえるだろう。桜の舞台でもその爆発力を引き出せるか。20年ぶりの桜花賞制覇へ、武騎手は絶好のチャンスを迎える。
伏兵陣も虎視眈々
阪神JFでアスコリピチェーノに迫ったステレンボッシュとコラソンビートも虎視眈々と一発を狙う。同レースでクビ差2着のステレンボッシュ(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)は、当初の予定通りぶっつけ本番で桜の舞台へ。短期免許で来日予定のJ.モレイラ騎手と初コンビを組むことが決まった。
阪神JF3着のコラソンビート(牝3歳、美浦・加藤士津八厩舎)は、前走のフィリーズレビュー(G2)で1番人気に推されたが惜しくも2着。好位追走から直線で逃げ馬に迫るも、とらえきれなかった。ただし、一度使われた上積みを見込めれば、好戦必至だろう。
この他には、フィリーズレビューでコラソンビートを破ったエトヴプレ(牝3歳、栗東・藤岡健一厩舎)、1月のフェアリーS(G3)で激戦を制したイフェイオン(牝3歳、栗東・杉山佳明厩舎)、エルフィンS(L)でスウィープフィートを2着に破ったライトバック(牝3歳、栗東・茶木太樹厩舎)など伏兵陣の層も厚い。
ここ数年でトレンドになっているぶっつけ本番組のアスコリピチェーノ、チェルヴィニアの2頭が強さを見せるのか、それとも3歳牝馬重賞を制したクイーンズウォークやスウィープフィートが連勝を飾るのか。注目の3歳牝馬クラシック第1弾、桜花賞は4月7日の15時40分に発走を迎える。