【川崎記念】B.ムルザバエフ、武豊騎乗の上位人気馬が総崩れ…「理由は分かりません」「左回りですかね」名手もクビかしげた大波乱の顛末
3日、川崎競馬場で行われた川崎記念(G1)は、金沢競馬所属の吉原寛人騎手が騎乗した7番人気の伏兵ライトウォーリアが優勝。本馬にとってもこれが嬉しい初G1勝利となった。
2着に5番人気グランブリッジ、3着に4番人気アイコンテーラーの入った3連単の払戻は24万6620円。上位人気に推された3頭すべてが馬券圏外に敗れ、7番人気→5番人気→4番人気で決着する大波乱となった。
吉原寛人とライトウォーリアが中央馬相手に逃げ切り勝ち
「手応えは全然違ったのですが、何とか4コーナーの出口まで踏ん張ってくれれば、ワンチャンスあるなと思って乗っていました。まくり切られずに4コーナーを回れたので、そこが良かったです」
会心の勝利を吉原騎手がそう振り返ったように、大一番で訪れた千載一遇のチャンスをしっかりとモノにした。楽勝ではなかったものの、ゴール後にすぐガッツポーズが出たあたりは、勝利を確認していたのだろう。
11頭立てのダート2100m戦で勝ちタイムは2分15秒5(重)。終わってみれば、先手を主張してハナを奪ったライトウォーリアと2番手に付けたアイコンテーラーが、最後の直線で叩き合う、いわゆる行ったままの展開となった。
直線入り口で並び掛けたアイコンテーラーの手応えもよかったが、再び盛り返したライトウォーリアが叩き合いを制して粘り切った。競り負けたアイコンテーラーをゴール寸前で交わして2着に追い上げたグランブリッジも勝ち馬とアタマ差。同タイムで入線した上位3頭が横一線に並ぶ大接戦だった。
これに対し、上位人気に支持されたセラフィックコール、グロリアムンディ、ノットゥルノは、そろって馬券圏外に完敗。これといった見せ場も作れずに凡走してしまった。
ペースが上がったタイミングで早々と脱落したグロリアムンディは、状態面なども含めて本来のデキになかった可能性も考えられるが、5着のセラフィックコールと6着のノットゥルノに関しては、前走を楽勝しての臨戦過程。上り調子で臨んだ一戦だっただけに少々気になる敗戦だ。
セラフィックコールは重のダートも前走のダイオライト記念(G2)で苦にしていなかったはず。手綱を取ったB.ムルザバエフ騎手が「船橋と川崎で砂の質が違うのか、キックバックに反応していました」「前回ほどの反応がありませんでしたが、理由はわかりません」とコメントしたように、船橋競馬場との相性が関係したかもしれない。
ノットゥルノは、前走の佐賀記念(G3)で問題にしなかったグランブリッジに逆転を許したものの、本馬については主戦の武豊騎手が「いつ走るのかがわかりにくいですね」とコメントした通り、気分屋なところのある馬。レジェンドも「左回りですかね」と思案していたが、確かにこれまでの好走は右回りばかりで左回りの好走歴はなかった。
地方馬の川崎記念優勝は、2021年のカジノフォンテン以来3年ぶりではあるが、キャロットファーム所有でノーザンファーム生産のライトウォーリアは、川崎に移籍する前までは中央で走っていた馬。地方馬全体のレベルアップとは言い切れないものの、清々しい気持ちにさせられる見事な逃げ切り勝ちだったことは間違いない。