オジュウチョウサン「後継者候補」にG1級快速馬がスタンバイ、あの「ゴルシワープ」から12年…中山GJと皐月賞に期待
今週末でフィナーレを迎える中山開催だが、13日には中山グランドJ(G1)、翌14日には牡馬クラシック初戦、皐月賞(G1)と2つのG1レースが組まれており、最終週まで盛り上がるのは間違いなさそうだ。
そんな中、この2レースに有力馬を送り込むゴールドシップ産駒が、障害、平地G1の同一週制覇に挑もうとしている。
ゴールドシップと言えば、2012年の皐月賞で見せた通称「ゴルシワープ」が有名だ。
目撃したファンも度肝を抜かれたこのレースでは、道中を最後方追走から進んでいたにもかかわらず、最終コーナーで一気に6番手まで進出することに成功。各馬が馬場の悪い内を避けて外に進路を取ったのに対し、あえて最内に進路を取ったゴールドシップの鞍上・内田博幸騎手の思い切りの良さが光る好騎乗だった。遠心力で外に振られた馬も多かった中、最短距離を通るコーナーワークで2着ワールドエースに2馬身半の差をつけて快勝したのだ。
ゴールドシップのその後の活躍は言うまでもないが、父が歴史に名を刻んだ皐月賞ウィークにその産駒たちも続きたいところである。
オジュウチョウサン「後継者候補」がスタンバイ
まず13日に行われる中山GJでは、2頭の産駒が出走を予定している。そのうちの1頭、マイネルグロン(牡6歳、美浦・青木孝文厩舎)は、2021年に平地から障害に転向すると、徐々に素質を開花させ、昨年は無敗で中山大障害(G1)を制覇、最優秀障害馬にも選出された。また今年初戦となった阪神スプリングJ(G2)でも、2着馬エコロデュエルに7馬身差の圧勝で5連勝と、王者の風格すら漂ってきている。
主戦を務める石神深一騎手は前走のレース後「連勝してスターと呼ばれる馬になっていってほしいと思います」と今後に期待するコメントを残しているが、それはファンも同じ。『netkeiba.com』が公開している単勝予想オッズは1倍台の断然人気に想定。見事6連勝を飾れるだろうか。
またマイネルグロンは、オジュウチョウサンの後継者として期待する声も多い。主戦を務める石神騎手、父系にステイゴールドの血も入っていることから、障害界の絶対王者の姿も重なるのだろう。障害界の絶対王者として長期政権を築いたオジュウチョウサンは、2016年からJRA賞最優秀障害馬にも計5回選出された名ジャンパー。マイネルグロンも偉大な先輩に続いて障害界の新時代幕開けを告げられるか。
また翌日の皐月賞ではメイショウタバル(牡3歳、栗東・石橋守厩舎)も注目の1頭だ。前走の毎日杯(G3)はスタートからハナを主張し、重馬場で1000m通過59.6秒というタフなペースを自ら演出。並の馬ならバテてもおかしくない展開だったが、逆に直線でライバルを突き放して“圧逃”した。6馬身も置き去りにされた2着ノーブルロジャーは、シンザン記念(G3)をデビューから無敗の2連勝で制していた相手だけに価値がある。
特筆すべきは1分46秒0の勝ちタイムだ。この怪時計は2007年より現在の阪神1800mで施行されている毎日杯で歴代2位タイだっただけでなく、時計を要する「重馬場」だったのだから、額面以上に中身が濃い。ちなみにこの日の同条件だった君子蘭賞(3歳1勝クラス)のそれは同じ重馬場でも1分48秒3。両レースの間に2.3秒も差がついたことも、メイショウタバルがいかに尋常ではない走りを披露していたかを証明している。
「重馬場への適性があったことは確かですが、それだけではこんなタイムは出ません。現在の条件で行われるようになった2007年以降の毎日杯を1.46.5秒以内で勝利した馬はメイショウタバル含め6頭いますが、その顔触れもシャフリヤール、キズナ、アルアインなどG1馬がズラリ。こういった過去の事例と照らし合わせると、G1級のパフォーマンスだったと言って差し支えないと思います」(競馬誌ライター)
皐月賞の鞍上は浜中俊騎手に戻るが、この日は日経賞(G2)のボッケリーニに騎乗予定があったため、坂井瑠星騎手が代役を任された格好。乗り替わりといっても主戦とのコンビだけに問題はなさそうだ。
「ゴールドシップの父ステイゴールドは、2011年にマイネルネオスが中山GJ、オルフェーヴルが牡馬三冠と有馬記念(G1)を制して、同一年による障害、平地G1制覇を達成しました。ただ同一週で障害、平地のG1を連勝するようなら2014年12月のディープインパクト産駒以来となります。今回の2頭ならチャンスは十分ありそうですね」(同ライター)
先週の中山開催でも2勝をあげて好調のゴールドシップ産駒だけに、今週の快進撃にも期待したい。