J.モレイラ「これからも楽しめる」ハクサンムーン弟が超出世レースを快勝! 7戦5勝「遅れてきた大物」が兄の果たせなかったG1制覇に王手!
遅れてきた大器が単勝1.9倍に応えてリステッド勝ち
14日、中山競馬場で行われた春雷S(L、芝1200m)は、1番人気のサトノレーヴ(牡5歳、美浦・堀宣行厩舎)が勝利。トップハンデの57キロを背負いながらも、最後はサーマルウインドを競り落として単勝1.9倍の大本命に応えた。
直前の皐月賞(G1)の興奮冷めやらぬ中で行われた中山最終レース。スタートを決めたサトノレーヴだったが、無理せず先頭集団を見るような形の好位をキープする。シナモンスティックが前半600mを33.4秒で逃げる締まった流れの中、3、4コーナーで外々を回る不利があったものの最後の直線でじわじわと脚を伸ばして接戦をモノにした。
「デビューが3歳4月と遅れましたが、5戦4勝2着1回という優秀な成績で自己条件を突破。前走の阪急杯(G3)で4着に敗れて連勝が3でストップしていただけに、この勝利は大きいと思います。
これまでは番手から抜け出す競馬が勝ちパターンでしたが、この日は少し後ろからの競馬。レース後、J.モレイラ騎手が『直線はしっかりとファイトしてくれた』と褒めていましたが、接戦を勝ち抜く勝負強さが見られたことは先々に繋がると思います。
すでに5歳ですが、大事に使われてきたため今回が7戦目。馬はまだまだフレッシュですし、これからもう一段階成長が期待できる良血馬。兄のハクサンムーンが果たせなかったG1制覇を期待したいですね」(競馬記者)
名短距離馬ハクサンムーンの弟に託されたG1制覇
記者がそうエールを送った通り、サトノレーヴの半兄ハクサンムーンはスプリンターズS(G1)で1番人気になったほどの名短距離馬だった。しかし、G1で2度の2着があるものの戴冠にはあと一歩届かず……。レース前の旋回癖が注目されるなど非常にファンの多い馬だったが、2016年に惜しまれつつターフを去った。
「返し馬の段階で能力を感じていた。これからも楽しめるポテンシャルがあると思う」(モレイラ騎手)
あれから8年。弟サトノレーヴが制した春雷Sは、ここ3年の勝ち馬がジャンダルム(スプリンターズS)、G3を2勝しているヴェントヴォーチェ、そして今春の高松宮記念(G1)を勝ったマッドクールが名を連ねるなど、近年屈指の出世レースとしても知られている。
兄の果たせなかったG1制覇へ、遅咲きの弟が大きな一歩を踏み出した。