【チャンピオンズマイル(G1)展望】海外転戦“5億円ホース”が世界最強ゴールデンシックスティに挑戦!昨年のNHKマイルC覇者が道悪で急浮上?

オオバンブルマイ 撮影:Ruriko.I

オオバンブルマイが海外G1・2勝目に挑む

 28日、香港のシャティン競馬場では上半期のマイル王を決めるチャンピオンズマイル(G1)が芝1600mを舞台に行われる。

 国際競走に指定された2005年以降、日本馬の勝利は2016年のモーリスだけだが、それもそのはず、これまで同レースに挑戦した日本馬は、モーリスを含めても4頭しかいない。そんなチャンピオンズマイルに今年は日本から3頭が出走を予定している。

 オオバンブルマイ(牡4歳、栗東・吉村圭司厩舎)は、2歳秋にデビュー2連勝で京王杯2歳S(G2)を制覇。続く朝日杯フューチュリティS(G1)は見せ場に乏しくドルチェモアの7着に敗れたが、短距離路線での活躍が期待された。

 3歳初戦のアーリントンC(G3)で武豊騎手と初コンビを結成すると、混戦を断って重賞2勝目をマーク。続くNHKマイルC(G1)では3着に追い込んで改めてG1級の能力を見せつけた。

 夏を休養に充て、秋はオーストラリアへの遠征を敢行。グレード格付けはないが高額賞金で知られるゴールデンイーグルに挑戦した。

 残念ながら武騎手はケガのため渡豪できなかったが、地元の名手J.パー騎手が代打で見事な騎乗を披露。大仕事をやってのけ、オオバンブルマイはジャパンC(G1)や有馬記念(G1)に匹敵する約5億円の1着賞金を僅か1分30秒足らずで手にした。

 そして今年初戦も再びオーストラリアに遠征。D.レーン騎手との新コンビでハンデ戦のドンカスターマイル(G1)に挑んだが、中団からレースを進めるも、いいところなく13着に沈んだ。

 前走後はオーストラリアから香港へ移動。中2週での強行軍となるが、レーン騎手を背に末脚不発に終わった前走の屈辱を晴らすことができるか。

エルトンバローズ 撮影:Ruriko.I

 2歳時から重賞路線で活躍したオオバンブルマイに対して、エルトンバローズ(牡4歳、栗東・杉山晴紀厩舎)は、初勝利を挙げたのが昨年4月のデビュー5戦目という晩成タイプだ。

 ところが、その後は1勝クラス、ラジオNIKKEI賞(G3)と2か月半の間に3連勝。さらに休み明けで臨んだ毎日王冠(G2)でソングラインやシュネルマイスターといった強豪古馬をまとめて撃破し、マイル~中距離路線のスター候補として頭角を現した。

 5連勝を懸けて臨んだマイルCS(G1)では4番人気に推されるも、中団追走から直線で伸びきれず。勝ち馬のナミュールから0秒2差の4着に敗れた。

 今年は2月の中山記念(G2)で始動したが、実績のある1800m戦で巻き返すことができず。勝負所でいい手応えで進出していくも、再び直線で伸びを欠いて7着に敗れた。

 レース後、鞍上を務めた西村淳也騎手は「この馬には厳しい馬場でした。終始のめっていました」と稍重の発表以上に時計がかかる荒れた馬場を敗因に挙げた一方で、「こんなに負ける馬ではありません。良い馬場で巻き返したいです」と、前を向いた。ただ今週末の香港もどうやら雨模様。初の海外遠征で前走に続く試練を克服できるか。

シャンパンカラー 撮影:Ruriko.I

 日本馬の3頭目は、昨年のNHKマイルCを制したシャンパンカラー(牡4歳、美浦・田中剛厩舎)だ。こちらはエルトンバローズとは対照的に道悪は歓迎のクチである。

 昨年のNHKマイルCは稍重発表ながら、時計のかかる重い馬場。これを4角13番手から差し切ったのだから道悪は得意な部類に入るだろう。

 ただし、その後は安田記念(G1)14着、初ダートのフェブラリーS(G1)16着、そして初スプリントの高松宮記念(G1)17着と惨敗続き。今回も苦戦が予想されるが、復活があるとすれば、やはり馬場が渋ったときだろう。

 

日本勢に立ちはだかるゴールデンシックスティ

 地元・香港勢は7頭がスタンバイしているが、最注目はもちろん、ゴールデンシックスティ(セ8歳、香港・K.ルイ厩舎)である。

 通算成績は驚異の「26-2-1-1」で、これまで稼ぎ出した賞金は世界でも歴代1位というまさにスーパーホースと呼べる存在だ。

 前走の香港マイル(G1)は、ナミュールやソウルラッシュなど日本の一流マイラーを全く寄せ付けず完勝。区切りのG1・10勝目を飾った。

 今回は4か月半ぶりの実戦となるが、これが現役ラストラン。当レース4連覇で引退の花道を飾ることになるのか。


 この他には、シャティン競馬場で重賞3勝もG1では3戦して香港スチュワーズCの2着が最高着順のビューティーエターナル(セ5歳、香港・J.サイズ厩舎)、前走のチェアマンズトロフィー(G2)で約2年ぶり勝利を挙げたビューティージョイ(セ7歳、香港・A.クルーズ厩舎)なども日本馬にとって強力なライバルとなりそうだ。

 世界最強馬と言われて久しいゴールデンシックスティだが、すでに8歳と高齢。対する日本の3頭は年齢的には伸び盛りの4歳馬たちだ。世界最強馬の引退レースで、世紀のアップセットを成し遂げる馬は現れるか。チャンピオンズマイルは日本時間28日の17時に発走を迎える。

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