【NHKマイルC】武豊「幸四郎がレース前に水をまいた」弟のG1制覇に手荒い祝福!? 引退後も伝統神事で史上初の平地G1馬として登場したウインクリューガーの記憶【東大式必勝馬券予想】
武幸四郎騎手とウインクリューガー
5週連続府中のG1、端午の節句の5日(日)は春の3歳マイル王決定戦・NHKマイルC(東京・芝1600m)が行われる。
第1回は昭和28年、日本でTV放送が始まった年でNHKが受信者獲得のため農林省(当時)に懇願し「NHK杯」の名で始めたそうだ。私が競馬を覚えた昭和40年代にはマーチス、タニノムーティエ、そしてハイセイコーらが皐月賞を勝ったのに“ダービー前の一叩き”として登場してきたことには隔世の感がある。昭和の馬はタフだったな~。
平成8年に現行の名称・距離となったが、クラシックに出走権のない外国産馬にも開放されたため、第1回のタイキフォーチュンから第6回のクロフネまで、優勝馬はすべて外国産馬で「マル外ダービー」と揶揄された。
そんな“インバウンド”に終止符を打ったのが2002年、トニービン産駒のテレグノシスだ。今回の思い出のレースはその翌年、同じく内国産のウインクリューガーが勝った一戦である。
同馬は武幸四郎(現・調教師)を鞍上に2歳秋の京都・新馬戦で快勝デビューしたものの、その後3戦は凡走。2月のダート500万円下(現・1勝クラス)でやっと両眼を開け、続くG3・アーリントンCも勝利して不世出のマイラーだった父・タイキシャトルに初の重賞勝ちを献呈した。
次走・毎日杯(G3)を8着に敗れるもG1・NHKマイルCに駒を進める。1番人気は兄の武豊騎乗のゴールデンキャスト。2番人気は橘S(OP)を勝ってきた4戦3勝、藤田伸二のヒューマ。武幸四郎のウインクリューガーはアーリントンCで兄のGキャストを7着に下しているのに9番人気の低評価だった。
小雨ながら良馬場で18頭のゲートが開く。勢いよくギャラントアローが飛び出すも、エースインザレース・池添謙一がこれを制してハナを奪い、幸四郎・ウインクリューガーは2番手につけ、兄のゴールデンキャストは最後方。直線に入ってもエース&ウインの2頭は団子状態の後続を大きく引き離したまま。残り1ハロンでエースをかわし先頭に立ったウインクリューガーが追い込む横山典弘・エイシンツルギザンに1馬身1/4の差をつけ悠々先頭ゴール、Gキャストはいいところなく11着に敗れた。
良馬場ながら降雨で馬場がゆるかったのだろうか? 兄の武豊が「幸四郎がレース前に水をまいた」と冗談を言いながら弟のG1・2勝目を讃えていたのを今でも覚えている。
ウインクリューガーは父タイキシャトルとクラブ法人ウインに初G1も贈ったのだが、ここから孝行息子の苦難の道が始まる。夏季休養明けの富士S(G3)を5番人気で7着に敗れてから、走っても走っても勝てない。阪急杯(G3)、スワンS(G2)の3着はあるが24戦連対ナシの末、7歳の夏に障害転向。初戦でようやく自身5勝目を収めるも、次走で左前屈腱炎を発症しターフを去った。
種牡馬となっても大した産駒は現れず、どうしているのかと思ったら福島県南相馬市に売られたと風の便りが。そう、伝統神事「相馬野馬追」に参加させるためだ。
こうしてウインクリューガーは2016年、史上初のJRA平地G1勝ち馬として登場。以来、東日本大震災の復興のシンボルとして伝統の祭りを彩っている。諸氏もこんな数奇な運命をたどりまだ活躍しているウインクリューガーに敬意を表されたい。去年も出ていたみたいだから、今年の夏は会いに行こうかな。
この辺で「東大馬券王の大よそー」に移ろう。
アスコリピチェーノ、ジャンタルマンタルから総流し
件のウインクリューガーも去年のシャンパンカラーも9番人気。ついでに2020年のラウダシオンも9番人気と荒れがちなレースであるがメジャーエンブレム、アドマイヤマーズらG1戦線で勝利・善戦してきた上位人気馬がきっちり勝つレースでもある。
今年はアスコリピチェーノ、ジャンタルマンタルがそれに該当。結論はこの2頭が軸の三連複流しでよい。問題はあと1頭で、近10年のうち9回は7番人気以下が突っ込んできている。
2022年なんて馬連2490円とまあまあおとなしいのに、3着に最低人気のカワキタレブリーが来て三連複41万、三連単153万円ですぜ。カワキタレブリーはマイルの白梅賞(1勝クラス)を勝ってデイリー杯2歳S(G2)3着だから私もチェックしていたのに……何でドベ人気だったのか!?
つべこべ考えず今年は全頭流ししておこう。三連複ならたった16通りだ。ガッチリ射止めて、端午の節句はタンゴでも踊って浮かれよう。(一部敬称略)