福永祐一調教師「ジョッキーもうまく乗ってくれた」今村聖奈との初白星含む4戦3勝固め打ち!「号泣」から四半世紀…苦楽を共にした牝馬の孫で勝利
今村聖奈騎手×福永祐一厩舎がコンビ初白星!
28日、新潟競馬場の3Rに行われた3歳未勝利は、4番人気アスクデビューモア(牡3歳、栗東・福永祐一厩舎)と今村聖奈騎手のコンビが勝利した。
ダート1800mのレース。アスクデビューモアは道中、中団後ろで末脚を温存。4コーナーで外に持ち出し、直線を向いたところでは先頭までかなりの差があったが、メンバー最速の上がり3ハロン37秒8で先行勢をゴボウ抜き。最後は2着に1馬身差をつけた。
先週に続き、2週連続Vとなった今村騎手は「厩舎サイドから『左回りの方がよさそう』と聞いていたが、いい脚を使ってくれた」と勝因を話し、「尊敬する福永先生の管理馬で勝つことができて良かったです」と、トレーナーとのコンビで掴んだ初白星を喜んだ。
「今村騎手と騎手時代の福永師は同じエージェントのグループに所属していたこともあり、まさに師弟関係のような間柄でした。今村騎手は『騎手としての基盤を祐一さんがつくってくれた』と話しており、スペシャル対談企画をテレビで見たことを覚えているファンもいると思います」(競馬誌ライター)
また福永師個人にとっても、この勝利は特別なものとなったかもしれない。というのもアスクデビューモアは騎手時代に主戦を務め、重賞を勝ったマルカコマチの孫だからだ。
表彰式で思わず号泣…
マルカコマチは福永師がジョッキー時代に所属していた北橋修二厩舎の管理馬。1998年1月のデビュー戦を勝利し、福永師と共に桜花賞(G1)出走を目指したが、チューリップ賞(G3・当時)4番人気9着、アネモネS(OP・当時)2番人気3着と、あと一歩でクラシック出走は叶わなかった。
翌年1月には京都牝馬特別(G3、現・京都牝馬S)に格上挑戦。4番人気に支持されると、最後の直線で追い込みを決めて勝利。これが師匠・北橋調教師の管理馬での初重賞勝利だった当時4年目の福永師は、表彰式で人目をはばからず号泣したというエピソードがある。
また、福永師は2011年2月に掲載された『UMAJIN.net』の記事の中で、“これまでの騎手人生で一番うれしかったことは?”という質問に、マルカコマチで勝った京都牝馬特別を挙げている。
「表彰式のとき、隣でホッとした表情をされていた北橋先生を見たときには、こみ上げてくるものがありました」と振り返るなど、やはり思い入れの深さは格別のようだ。
そんな福永師だったが、それから約3ヶ月後に開催された小倉大賞典(G3)の返し馬ではマルカコマチから落馬。背中を踏まれて肋骨骨折と左腎臓の一部を損傷してしまう苦い経験もしている。
ジョッキー時代に苦楽を共にした、思い出の1頭といえるマルカコマチ。その血を受け継いだアスクデビューモアと、今度は調教師という立場で白星を挙げたのだから、福永師にとって感慨深い1勝となったかもしれない。
また福永師はこの週、アスクデビューモアを含め土日で4戦3勝の固め打ちして「ジョッキーも上手く乗ってくれた」と手応え。来月5日のNHKマイルC(G1)では、チャンネルトンネルでG1に初参戦予定だけに、今週も福永厩舎から目が離せそうにない。