【日本ダービー】昨年の覇者・堀宣行厩舎が「間に合わせた」2本の剣。ダノンエアズロックとゴンバデカーブースで描く“逆襲”のシナリオ
昨年のダービートレーナー堀宣行調教師の逆襲?
一生に一度の晴れ舞台と謳われる日本ダービー(G1、芝2400m)に、19頭が出走登録を予定している。
ここ10年でダービー3勝を誇る友道康夫厩舎からは無敗の皐月賞馬ジャスティンミラノ、コントレイルで無敗三冠を成し遂げた矢作芳人厩舎からは期待の大物シンエンペラーが登録を予定しているなど、各厩舎の威信がぶつかり合う一戦となりそうだ。
そんな中、近10年でダービー2勝を誇り、現在調教師リーディング1位と絶好調の堀宣行厩舎からは2頭が出走予定である。ゴンバデカーブースとダノンエアズロックだ。
いよいよ日本ダービー開催を迎える2024年クラシック戦線だが、最初に主役に躍り出たのが堀厩舎だった。
昨年10月に開催されたサウジアラビアロイヤルC(G3)には、例年通り評判馬が集結した。2015年の創設からダノンプレミアム、グランアレグリア、サリオス、ドルチェモアなどが勝ち馬に名を連ねるなど、勝利がそのままG1制覇へ直結する出世レースを制したのが堀厩舎のゴンバデカーブース。それも先日のNHKマイルC(G1)で3番人気に推された強豪ボンドガールに2馬身差をつける完勝だった。
さらに同月に行われるアイビーS(L)も近10年の勝ち馬にソウルスターリング、クロノジェネシス、ドウデュースらが名を連ねる出世レースとして有名だ。昨年は後に牝馬として史上初のホープフルS(G1)制覇を成し遂げるレガレイラの登場が話題になったが、そんな未来の女傑を寄せ付けなかったのが、堀厩舎のダノンエアズロックだ。2番手から上がり3ハロン32.7秒という異次元の末脚を繰り出したのは、一昨年のセレクトセールにて4.5億円で落札された評判馬である。
超が付く出世レースを制したゴンバデカーブースと、ダノンエアズロック。翌年のクラシックは2本の剣を持つ堀厩舎が席巻する――。そう言っても過言ではないほど、その輝きは強烈だった。
しかし、アクシデントが起こってしまった。
デビュー2連勝でサウジアラビアRCを勝ったゴンバデカーブースは、そのまま2歳王者決定戦のホープフルSに矛先を向けたが、本番直前で感冒を発症して出走取消。その後、喉頭蓋エントラップメントという競走能力に関わる病気を発症、手術を余儀なくされた。
また、デビュー2連勝でアイビーSを制したダノンエアズロックは、翌年の弥生賞ディープインパクト記念(G2)から始動したものの、まさかの7着。陣営も首をかしげる敗戦だったが、レース後に軽度の骨折が判明……。ゴンバデカーブースに続き、ダノンエアズロックもクラシック第1戦の皐月賞(G1)の出走馬に名を連ねることができなかった。
そんな2頭の風向きが変わったのは今月だ。
堀宣行厩舎が「間に合わせた」2本の剣
軽度の骨折を乗り越え、ダービー出走に最後の望みをかけたダノンエアズロックが4日のプリンシパルS(L)に出走。レース前に堀調教師が「息の方はまだ七、八分程度」と話すなど、前走の弥生賞からわずか2か月と難しい調整を強いられたはずだったが、終わってみれば1馬身1/4差の快勝。ゴール前は流す余裕の勝利で、鞍上のJ.モレイラ騎手も「2400mに延びるのは、さらにいいかも」と早くも本番を見据えている。
その翌日、ダノンエアズロックの復活に呼応するような力走を見せたのが、NHKマイルC(G1)に出走したゴンバデカーブースだ。昨年のサウジアラビアRC以来、約7か月ぶりのレースがG1という厳しい中、4着に好走。ジャンタルマンタルには完敗だったが、2着アスコリピチェーノとは0.1秒差だった。
今年の日本ダービーは、無敗の皐月賞馬ジャスティンミラノが不動の主役を務める。その力は誰もが認めるところだが、アクシデントを乗り越えて戦線復帰を果たしたダノンエアズロックとゴンバデカーブースが、上り調子で本番を迎えられることは間違いない。
「まだ格付けは済んでいない」。昨年、タスティエーラで日本ダービーを制した堀厩舎の逆襲がここから幕を開けるかもしれない。