ステレンボッシュはシーザリオの再来!? ラインクラフトとの超ハイレベル決戦…思い出される2005年牝馬クラシック【東大式必勝馬券予想】

東大式必勝馬券予想

 いや、ヴィクトリアマイルテンハッピーローズには驚きましたな。

 全出走馬中、最多の5勝(5頭いたが2着のフィアスプライドもそう)、そして左回り得意。私もチェックしていたので、ナミュールが出遅れなければ獲れてたかも。武豊騎手も2Rで4500勝を達成し、私もスタンドから喝采を送ったのだが、いくらレジェンドでもいいことばかりは続かない。

 気を取り直し、今週末19日(日)は3歳牝馬の頂上決戦、優駿牝馬(オークス)だ。

 昭和13年の創設当時は、その名も「阪神優駿牝馬」で阪神開催。逆に現・桜花賞が「中山四歳牝馬特別」で中山開催。優駿牝馬は戦後間もなくの昭和21年に府中開催となり、昭和40年に英国にあやかり「オークス(樫)」の副称が与えられた。東京優駿(日本ダービー)と同じく戦後一度も他場開催や条件変更はなく「東京・芝2400m」で行われている格式の高いレースだ。

ステレンボッシュはシーザリオの再来!?

 思い出の一戦は2005年、優勝馬はシーザリオ。父はダービー、春夏の天皇賞、ジャパンCなどを制したスペシャルウィーク、母は高祖母が英オークス馬ピアという英国産の血統馬キロフプリミエールで、2004年のクリスマスに阪神の新馬戦を福永祐一騎乗でデビュー勝ち。明け3歳の寒竹賞、フラワーCも制して3連勝で臨んだ桜花賞で福永騎手がラインクラフト先約のため地方の吉田稔に乗り替わる。

 そしてシーザリオはラインクラフトにアタマ差届かず初の苦杯を舐めるのだが、ラインクラフトは距離適性からオークスに向かわず牡馬に交じりNHKマイルCに挑戦し見事優勝、なんだか今年の状況に少しだけ似ている。

 鞍上が福永に戻ったシーザリオは当然のようにオークスに駒を進め、単勝1.5倍の断然1番人気。離れた2、3番人気がエアメサイア、デイアデラノビアで晴れ・良馬場の下18頭のゲートは開く。

 武幸四郎・エイシンテンダーが勢いよく飛び出し、藤田伸二・ジェダイトがこれに続く。人気3頭は後方集団でシーザリオは後ろから4頭目。この隊列は直線まで続き、残り1ハロンで後方から武豊・エアメサイアが先頭に襲いかかり、K.デザーモ・ディアデラノビアが連れられ脚を伸ばす。大本命シーザリオ危うしと思われたが、外から上がり3ハロン33秒3の剛脚を繰り出しクビ差抜け出したところがゴールだった。

 福永騎手は異なる馬で牝馬2冠制覇の珍記録にして快記録を達成。1、2、3番人気、順番通りの決着で三連単はたったの3330円。ファンには儲からないが当てて嬉しい結果となり、私も忘れられないわけだ。

 シーザリオ嬢はこの直後渡米、アメリカンオークスを勝って日米で樫の女王に輝き6戦5勝、2着1回という準パーフェクトの戦績を残し引退。エピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアと3頭のG1馬を産み、繁殖界でも女王の名をほしいままにした。

 2着エアメサイアもエアスピネルら、3着ディアデラノビアもドレッドノータスら重賞勝ち馬を産し、このレースは後世まで語られるべき史上最高レベルのオークスだったと、諸氏も心に刻まれたい。

 この辺で「東大馬券王の大よそー」に移ろう。

 今年はその2005年に似た状況と書いたが、桜花賞2着のアスコリピチェーノがNHKマイルCに向かい、しかも僅差2着と善戦した以上、桜の女王・ステレンボッシュの頭は不動である。

桜の女王ステレンボッシュ 撮影:Ruriko.I

 距離云々もこの10年で近2年連続を含む4頭が2冠を達成、名牝に距離の壁はない。シーザリオの“孫”というのも因縁を感じる。(※競走馬の血統は母系なので”孫“は正確ではないが)。2着もエアメサイアと同じ桜花賞4着のスウィープフィート、ディアデラノビアと同じフローラS勝ち馬のアドマイヤベル、ここ3年連続連対のクイーンC組クイーンズウォーク、この3頭から出るはず!

 一獲千金を狙うなら10番人気以下の人気薄が5年連続で3着以内に来ているので手広く流そう。でも、なんかシーザリオらの2005年みたいに堅く収まりそうな気がするな~。「競馬はブラッドスポーツ」その格言に違わぬ好レースを今年も期待したい。(一部敬称略)

尼崎昇

初めて見たダービー馬はタニノハローモア。伝説的な名馬の走りをリアルタイムで見てきた筋金入りの競馬通は「当たって儲かる予想」がモットー。過去に東京大学で競馬研部長をつとめ、スポーツ新聞やラジオ解説を担当した勝負師の素顔は「隣の晩ごはん」や「おもいッきりテレビ」などの大ヒット番組を手掛けたキー局の元敏腕プロデューサー。德光和夫、草野仁ら競馬界の著名人との親交もあり、競馬談義を繰り広げる仲である。

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