【日本ダービー(G1)展望】無敗ジャスティンミラノに死角なし!? 2着2回の戸崎圭太は10度目の挑戦で戴冠なるか
2024年、牡馬クラシックの頂上決戦が開幕!
26日、東京競馬場では日本ダービー(G1)が開催される。2021年に誕生した約8000頭の頂点に立つのはどの馬か。早速展望していこう。
今年のダービーは皐月賞馬ジャスティンミラノ(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)が、やや抜けた1番人気に支持されることになりそうだ。
前走の皐月賞(G1)はメイショウタバルが1000m通過57秒5のハイペースで飛ばす中、好位5番手からの競馬。4番手で最後の直線を向くと、先に抜け出したジャンタルマンタルを外から交わし先頭に立った。中団からコスモキュランダも脚を伸ばしたが、これをクビ差抑えて戴冠。前年のソールオリエンスに続き、史上21頭目となる無敗の皐月賞馬が誕生した。
戦前は初の中山コースを懸念する声もあったが、あっさりと克服。今回は新馬戦と共同通信杯(G3)を完勝した東京に戻り、もはや死角らしい死角はないといえるだろう。
強いて不安要素を挙げるとすれば、コンビを組む戸崎圭太騎手が東京芝2400mのG1で30戦全敗である点か。ダービーでも9戦して2着が2回あるものの勝利はない。区切りのダービー10度目騎乗で初めて背負うことになるであろう1番人気の重圧。戸崎騎手はそれを跳ね返し、ダービージョッキーを狙う。
そんな戸崎騎手とジャスティンミラノに“包囲網”を張り巡らせるのが3人の外国人騎手たちだ。
17年にレイデオロでダービーを制したC.ルメール騎手は、レガレイラ(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎)とのコンビで7年ぶりの戴冠が視野に入る。
デビュー戦から手綱を取り、3戦目のホープフルS(G1)で牡馬を蹴散らしてG1馬に輝いたレガレイラ。今年は予定通りぶっつけで皐月賞へ駒を進めた。
ところが当時はルメール騎手がドバイの落馬事故で戦線を離脱中。クラシック初戦には騎乗できなかった。代打として白羽の矢が立ったのは北村宏司騎手。ファンはレガレイラと北村宏騎手を1番人気に支持したが、スタートで他馬と接触する不利もあって後方からの競馬を強いられると、勝負所でスムーズさも欠いて6着に敗れた。
ただ、直線でしっかりと脚を伸ばし、上がり最速タイの33秒9をマークしており、ルメール騎手に手が戻る今回は広い東京コースも味方に巻き返しは必至か。
皐月賞2着馬のコスモキュランダ(牡3歳、美浦・加藤士津八厩舎)は、03年ネオユニヴァースと15年ドゥラメンテでダービーを2勝しているM.デムーロ騎手と再コンビを結成する。
初コンビを組んだのは2走前の弥生賞ディープインパクト記念(G2)。単勝オッズ34.9倍の6番人気という低評価で迎えると、スタートで後手を踏み、後方からの競馬となった。
しかし「前残りの馬場でしたから、途中から動いた方が良いと思って」と、デムーロ騎手は向正面で捲っていき先行集団に取り付くと、4角2番手から直線で押し切る強い内容で勝利。最高の形で皐月賞の優先出走権を獲得した。
続く皐月賞はJ.モレイラ騎手に乗り替わって7番人気と引き続き伏兵扱い。ただ、出遅れ癖のある馬が好発を決めると、中団につけて末脚を温存。直線で大外を回ってジャスティンミラノをあと一歩のところまで追い詰めた。東京コースは昨年6月の2歳新馬で最下位12着に大敗しているが、本格化した今なら全く気にすることはないだろう。
ダービー初制覇を狙うモレイラ騎手は堀宣行厩舎が送り込む2頭のどちらかに騎乗することになりそうだ。
1頭目はダノンエアズロック(牡3歳、美浦・堀宣行厩舎)。同コンビで臨んだデビュー2戦目のアイビーS(L)ではレガレイラを一蹴した実力馬である。
R.キング騎手に乗り替わった3戦目の弥生賞は7着に敗れ連勝は止まったが、レース後に右後肢外側副管骨の骨折が判明。春のクラシック参戦に黄色信号が灯った。
ただ症状は軽度で、2か月後のプリンシパルS(L)で戦列に復帰すると、陣営が「乗り込み不足」「七~八分の出来」という状態にもかかわらず完勝。2度目の騎乗となったモレイラ騎手も「去年の秋よりも成長していました」「2400mは問題ないし、むしろ2000mよりも能力が出せる」とコメントするなど、相当な上積みが見込めそうだ。
モレイラ騎手が跨る可能性のあるもう1頭がゴンバデカーブース(牡3歳、美浦・堀宣行厩舎)。こちらもダノンエアズロックと同じく中2週での競馬となる。
2戦2勝で迎えた前走のNHKマイルC(G1)は、中間に順調さを欠いていたこともあり、ファンも半信半疑だった。しかし、前残りの展開の中、中団から外を通って4着に入って地力の高さを証明。マイルしか経験がないが、800mの延長をあっさりと克服しても驚けない。
皐月賞以外の路線からシックスペンスとシュガークンの名前も挙げておきたい。
シックスペンス(牡3歳、美浦・国枝栄厩舎)は、2歳時に新馬、1勝クラスを連勝。3か月ぶりの実戦となった前走のスプリングS(G2)も3馬身半差をつけて、デビューからの連勝を3に伸ばした。
今回は相手関係が一気に強化されるが、新たにコンビを組む川田将雅騎手の乗り方ひとつで勝機も生まれてくるだろう。
平成の名馬キタサンブラック超えを狙うのは、同馬の半弟シュガークン(牡3歳、栗東・清水久詞厩舎)だ。
2月の新馬戦で2着に惜敗したものの未勝利戦、大寒桜賞(3歳1勝クラス)、青葉賞(G2)と距離を1ハロンずつ延ばしながら3連勝。黄色信号が灯っていたダービーに間に合わせたのは血のなせる業か。ダービー6勝の武豊騎手とともに、兄が逃した春のクラシック制覇に力が入る。
この他には、4着に敗れた皐月賞で見せた末脚には目を見張るものがあったアーバンシック(牡3歳、美浦・武井亮厩舎)、凱旋門賞馬のソットサスを兄に持つシンエンペラー(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)、皐月賞でレガレイラと並ぶ上がり3ハロン最速の末脚を繰り出したエコロヴァルツ(牡3歳、栗東・牧浦充徳厩舎)などの伏兵陣も虎視眈々と上位を狙っている。
注目の大一番は26日の15時40分に発走を迎える。