友道康夫厩舎、開業22年で「通算4度目」の1200m重賞挑戦!? 前回はディヴィーナが初の1200mで高松宮記念(G1)挑戦も撃沈…偶然だけではない厩舎の色
長距離の友道康夫厩舎から、ついに1200mの重賞ウイナーが?
今年3月、惜しまれつつ引退した安田隆行調教師は競馬史に残る個性派だった。
JRA通算967勝を誇る名伯楽は、JRA重賞通算59勝を挙げながらそのすべてが2000m以下(※障害競走を除く)。今春の大阪杯(G1)を勝ったベラジオオペラの父ロードカナロアや、『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)などで人気のカレンチャンなど、数多くのスピードスターを手掛けながら芝2400mの日本ダービー(G1)など、クラシックや古馬王道路線とはついに縁がなかった。
その一方で、そんな安田隆調教師とは対極的な個性派が、日本ダービー3勝を誇る友道康夫調教師だ。
JRA通算726勝(以下、20日現在)、JRA重賞通算65勝と安田隆調教師に勝るとも劣らない実績を誇る友道調教師。ただ、重賞勝利の最短距離は1600m。スプリンターズS(G1)や高松宮記念(G1)をはじめ、1400m以下の重賞を勝ったことがない。まさに安田隆調教師とは正反対の実績と言えるだろう。
だが、そんな友道厩舎から、ついに1200mの重賞ウイナーが誕生するかもしれない。25日に京都競馬場で行われる葵S(G3)にロードフォアエース(牡3歳)が出走を予定しているのだ。
「ただ1200mの重賞に登録しただけ」と思われるかもしれないが、マイラーやスプリンターが少ない友道厩舎の場合、それ自体が非常にレアなこと。2002年に開業した同厩舎だが、ロードフォアエースが葵Sに出走すれば、これが開業22年で通算4度目の1200m重賞挑戦になる。
「前走がバイオレットS(OP)2着と、ダートで結果を残しているロードフォアエースですが、デビュー戦は芝の1600mで2着。父がロードカナロアですし、一族にも欧州の芝G1馬がいるので、芝への適性も見込めそうです。賞金的に抽選になりそうですが、出られるなら面白い存在になるだけに楽しみですね」(競馬記者)
個性が生まれるのは、その厩舎の色が強く出た結果
ちなみに友道厩舎はディヴィーナで挑戦した今春の高松宮記念で、厩舎初のスプリントG1挑戦となったが、馬にとってキャリア初の1200mということもあって11着に大敗している。
かつて矢作芳人厩舎と福永祐一騎手(現調教師)がマイラー気質の強かったコントレイルを距離がもつように育成し、3000mの菊花賞(G1)を制覇。史上3頭目の無敗三冠を成し遂げたことは有名な話だ。安田隆調教師や友道調教師のような個性派が生まれるのは、決して偶然の力だけでなく、その厩舎の色が強く出た結果だろう。
厩舎でも“異色の存在”となるロードフォアエースに「いいスプリンターになってほしい」と期待をかけている友道調教師。果たして、本馬は厩舎の“殻”を破ることができるだろうか。まずは抽選突破を祈りたい。