【マーメイドS(G3)展望】イクイノックス母も勝利した夏の牝馬ハンデ戦! 川田将雅×福永祐一タッグが素質馬で重賞に初チャレンジ!! 重賞勝ち馬も上位進出に虎視眈々
<目次>
16日に開催される牝馬限定重賞のマーメイドS(G3)。荒れる夏のハンデ戦として知られているが、今年は阪神競馬場が改修工事のため、京都競馬場での開催となる。しかし、開催場所が変更になっても、この1戦が重要な意味を持つのは変わらない。
なにより、ここを制した牝馬の多くは、現役引退後繁殖牝馬として活躍。中でも目を引くのは、2015年の勝ち馬シャトーブランシュだ。キタサンブラックと交配され、あの名馬イクイノックスを輩出している。競走馬としてはもちろん、現役引退後の繁殖牝馬としての箔をつけるためにも勝ち星をあげたい1戦となっているのは間違いないだろう。
目覚ましい成長を見せるコスタボニータ
今年、1番人気に支持されそうなのはコスタボニータ(牝5歳、栗東・杉山佳明厩舎)だろう。
今年は愛知杯(G3)から始動し3着に入ると、続く中山牝馬S(G3)では5着。2戦連続で掲示板に載る走りを見せると、続く福島牝馬S(G3)では待望の重賞初勝利を掴み取った。
前走、岩田望来騎手を背に1番人気に支持されたコスタボニータ。キレイなスタートから好位につけると、1枠1番の枠を活かして内をロスなく進んでいく。最後の直線でスペースがなくなったが、岩田望騎手が冷静に外へ切り返すと、先を行くライバルに迫り、きっちりと交わして見せた。
レース後、岩田望騎手は、「外に出してからは2着かなと思いましたが、残り1ハロンで頑張ってくれて、馬には感謝したいです。レースセンスがとても良いですし、一瞬の脚は素晴らしいものがあります」と、自身の手綱に応えた相棒を称賛していた。
ヴィクトリアマイル(G1)への優先出走権を手にしていたが、回避。一度立て直してマーメイドSを目標に調整されてきた。今後は11月に行われるエリザベス女王杯(G1)を目指すことになるだろう。ここを足がかりに、G1の舞台に挑戦することができるか。
母の主戦と新コンビのミッキーゴージャス
大阪杯(G1)で14着と惨敗を喫したミッキーゴージャス(牝4歳、栗東・安田翔伍厩舎)はここから巻き返したい。
昨年の秋から今年の1月にかけて3連勝で愛知杯を制覇。愛知杯では序盤、後方に控えるも、道中からポジションをあげて4コーナーでは2番手へ。直線で先頭に立つと、迫りくるライバルたちの追撃を凌いで見事に優勝。弟子の川田将雅騎手から今年の3月で定年となった安田隆行調教師の引退の花道を飾る、最後の重賞勝利のプレゼントとなった。
しかし、オークス(G1)以来となる2度目のG1・大阪杯では見せ場なく14着と大敗。レース後に騎乗したM.デムーロ騎手は、「気が悪くて、集中していなかった」と集中力を欠いた状態での出走だったと明かしている。
今回は仕切り直しの意味もあり、デムーロ騎手から浜中俊騎手に乗り替わり。浜中騎手は母馬ミッキークイーンの主戦を務め、オークス&秋華賞とふたつのG1を制覇している。かつての相棒の愛娘の復活を後押しすることができるだろうか。
川田将雅×福永祐一のタッグが重賞初挑戦
エーデルブルーメ(牝5歳、栗東・福永祐一厩舎)は、川田将雅騎手とのコンビで重賞勝利を狙う。
これまで15戦して、掲示板を外したのが1回だけという高い安定感が魅力。前走のダイワスカーレットC(3勝クラス)では川田騎手を背に、道中6、7番手で進むと直線では外から進出。スムーズに伸びて内の馬を交わして勝利をあげた。
レース後、福永師は「騎手も完璧に乗ってくれました。馬もそれに応えていい走りを見せてくれました。何より騎手からのフィードバックが良かったです」と、現役時から親交が深い川田騎手を手放しで称賛。まだ良化する余地があると言い、「順調にいけば重賞にも手が届くと思える馬」と先を見据えたコメントをしていた。
川田騎手×福永師。騎手仲間から調教師と騎手へと、立場は変わったものの、その関係性は不変だ。今後、名タッグとして鳴らすであろうふたりにとって、今回が重賞初挑戦。この記念すべき1戦で、エーデルブルーメがどのようなパフォーマンスを披露してくれるのか。興味は尽きない。
また坂井瑠星騎手と再タッグを結成し、長い低迷からの脱却を図るラヴェル、この1戦でも主導権を握ると見られている連勝中の逃げ馬ベリーヴィーナス、中日新聞杯(G3)3着のピンハイ、自己条件ながら6戦連続連対中のアリスヴェリテ、このほかにも秋に飛躍を誓う陣営が集結した。
今年のマーメイドSは、実績馬が実力を発揮するのか、それとも軽斤量の格下馬がハンデ差を生かし、ジャイアントキリングを達成するのか。注目の一戦は16日、15時35分に発走を迎える。