二刀流の優駿・メイショウボーラー!アドマイヤドン、タイムパラドックスら強豪を下したフェブラリーS vol.24

 かつて観衆を沸かせた名馬の“今”を紹介!

 走り終えた今も、観衆を魅了したあの日の輝きは、決して色褪せない。

 全国で暮らす、名馬の個性と“今”を集める『ウチの子はあの名馬!個性にLOVE❤︎ 引退馬コレクション』をお届けします!

 今回のコレクションは、2003年のデイリー杯2歳S(G2)や2005年のフェブラリーS(G1)などを制した、メイショウボーラー!

 現在は、北海道沙流郡日高町にある、ひだか・ホース・フレンズで暮らしているとのこと。

 そのお世話をしている村上さんにマル秘情報をたくさん聞いちゃいました!

村上 善己さん
(ひだか・ホース・フレンズ 場長)

ウマ歴:44年
出身地:北海道沙流郡平取町
趣味:カラオケ
休日の過ごし方:食べ歩き

 

メイショウボーラー

ニックネーム|ボーラー、ボー
生年月日|2001年4月16日
生産者|日の出牧場
馬主|松本好雄
戦績|29戦7勝(2着5回,3着3回)
獲得賞金|4億3,382万円(中央)、3,290万円(地方)
主な勝鞍|2003年 デイリー杯2歳S(G2)、2005年 フェブラリーS(G1)
父|タイキシャトル
母|ナイスレイズ
母父|Storm Cat
ここにきた日|2022年12月19日

誰もが想像し得なかった「4連勝後の8連敗」

メイショウボーラーは2003年7月のデビュー戦、続くフェニックス賞(OP)を連勝で飾ると、次走の小倉2歳S(G3)では5馬身差をつけての完勝、さらにデイリー杯2歳S(G2)でも逃げたまま押し切る強い競馬で後続を完封し、デビューから4連勝、重賞2連勝と最高のスタートを切りました。

 しかし、満を持して挑んだ同年末の朝日杯FS(G1)では、中山の急坂もあってか最後は脚が止まり、ゴール手前でコスモサンビームに交わされての2着に惜敗。

 そして年が明けた2004年、始動戦となった弥生賞(G2)ではコスモバルクの2着、皐月賞(G1)ではダイワメジャーとコスモバルクに続く3着、次走は適正距離であるマイルへ照準を合わせてNHKマイルC(G1)に出走しましたが、ここでもキングカメハメハとコスモサンビームの3着に敗れました。

 さらに不振は続き、安田記念(G1)11着後は胃潰瘍を患って休養へと入り、復帰した秋からはスワンS(G2)で3着、マイルCS(G1)で7着、CBC賞(G2)で4着となり、2歳時の快進撃からは誰も想像し得なかった、「3歳シーズン0勝」という衝撃の結果となりました。

諦めなかった陣営の“機転”が功を奏する

 常にビッグレースの中心に身を置きながらも、敗れ続けたメイショウボーラー。
このまま、「G1タイトルに最も近かった馬」としてキャリアを終えてしまうのかと、競馬ファンの誰もが想像したことでしょう。

 しかし、陣営は諦めていませんでした。

 この馬の可能性を信じ、次走で驚きの作戦に出たのです。

 2005年の4歳シーズン初戦、なんとこれまで芝の重賞レースを2勝していた同馬が出走したのは、ダート重賞のガーネットS(G3)でした。

 元々前進気勢が強く、芝のスプリント戦で見せていたようにスピードにも恵まれていたメイショウボーラー。

 成長するごとに短距離向きの筋肉が備わってきたことに加え、調教ではダートコースでもいい動きを見せていたことから、陣営の機転でダート重賞へ挑戦したのでした。

 レースでは好スタートから3番手好位で運ぶと、直線では後続を突き放して1頭独走状態のまま2着馬に3馬身差をつけての快勝。

 遂に長い長いトンネルを潜り抜けたメイショウボーラーは、芝・ダート両重賞制覇という金字塔を打ち立てました。

 さらに、次走の根岸S(G3)でも、2着馬に7馬身差をつけての圧勝劇を披露。
ここにメイショウボーラーは完全復活を果たし、いよいよ芝では叶わなかったG1制覇の夢を掴む下地が整いました。

G1制覇へ視界良好のメイショウボーラーを強豪らが迎え撃つ

 同年2月、ダート重賞を連勝したメイショウボーラーは、中2週でフェブラリーS(G1)に参戦。

 下馬評では、前年の同レースを制したアドマイヤドン、地方交流G1を3勝しているユートピア、2004年のジャパンカップダート(G1)に加え、前走川崎記念(G1)を勝って挑んだタイムパラドックスなど、並み居る強豪が出揃った中で、なんと1番人気2.0倍の支持を受けたメイショウボーラー。

 レース本番は好スタートからハナを奪うと、後続に4~5馬身のリードを保ったまま直線へ入り、2番手以降混戦の中、ただ1頭突き抜けたメイショウボーラーは、そのリードを徐々に縮められながらも、しぶとく粘り込みを図り、最後は2着シーキングザダイヤに1.1/4馬身差をつけて1着でゴール。

 2歳時には芝重賞で2勝を挙げ、3歳芝G1レースでも好走していた競走馬が、遂にダート競走で初のG1タイトルを手にしました。

第22回 フェブラリーS(G1) 2005.2.20 東京 小雨・不良 ダート1,600m 15頭


種牡馬としても、芝・ダートの重賞馬を輩出

 その後は、同年末の兵庫ゴールドトロフィ(G3)で2着、2006年のサマーチャンピオン(G3)で2着、2006年10月にはスプリンターズS(G1)でも2着となるなど、芝・ダート両重賞レースで好走したほか、2006年12月には香港スプリント(G1)へ出走して海外にも足を延ばしたメイショウボーラーですが、9か月振りに出走を果たした2007年のスプリンターズS(G1)が現役最後のレースとなりました。

 引退後は北海道浦河町のイーストスタッドで種牡馬となり、2017年のJBCスプリント(G1)優勝馬ニシケンモノノフ、2017年アイビスSD(G3)勝ち馬のラインミーティアなどを輩出した後、キャリア14年目となる2022年に種牡馬を引退。

 認定NPO法人引退馬協会のフォスターホース(「ナイスネイチャ・33歳のバースデードネーション」対象馬)として、現在の「ひだか・ホース・フレンズ」にやって来ました。

 かしこさ&食欲はMAXの☆5なのですね。

 舌を出している可愛らしいお写真からは、アザトイ雰囲気も感じられます!

 担当している村上さんに、メイショウボーラーの”印象的なエピソード”を聞いてみました!

「入厩当初に噛みつきの洗礼を受けました。

 頑固なところがありますが、徐々に環境に慣れ、穏やかな瞳、顔つきになりました。

 いたずらで人の足を踏もうとするのですが、その癖は父・タイキシャトルと同じだとか。

 ときおり、タイキシャトルに似た表情を見せることもあります。

 やはり父子ですね。」

 なるほど、血は争えないのですね。

 競走馬は母親と一緒に過ごす時間はあっても、父親と過ごす時間は全くありませんから、見て真似ることはできない訳で、やはり遺伝なのでしょうか。

可愛い表情を見せるメイショウボーラー
メイショウボーラーの鼻

 鼻にある“ほくろ”を確認しました!

 ゆるゆる唇も可愛らしいですね(笑)

桃と見間違えるメイショウボーラーの鼻
柵の上からのぞくメイショウボーラー

 これは「スキスキ」にも挙がっていたメイショウアイアンをチラチラ見ている様子なのだそうです。

 繊細さを持っていて、“かまってちゃん”“甘えん坊”なところもあります。

 表現が不器用なところもありますが、触れていくと可愛さを感じます。

 近頃は穏やかな良い顔を見せてくれるようになりました。

 ぜひボーラーに会いに来てください!

 村上さん、メイショウボーラーのマル秘情報をたっぷりご提供いただき、ありがとうございました!

 なお、見学には予約が必要となっています。

※ひだか・ホース・フレンズ公式サイト上に申し込みフォームがあります。

 見学の詳細について、一般見学の方は「競走馬のふるさと案内所」をご参照ください。
https://uma-furusato.com/search_farm/entry-58728.html

 引退馬協会会員様は、会員専用ページをご参照ください。

 そして、ひだか・ホース・フレンズさんのSNSと、引退馬協会のYouTubeチャンネル、「ホース・フレンズだより」から、メイショウボーラーの姿をチェックできるので、ぜひフォローしてみてください♫

WEBサイト|https://www.uma-tomo.com/
X(旧:Twitter)|@UmaTomo_Hidaka
Instagram|umatomo.hidaka
Facebook|UmaTomo.Hidaka
YouTube|NPO法人引退馬協会公式YouTubeチャンネル
「ホース・フレンズだより」|https://rha.or.jp/f/deepsky/index.html

協力:認定NPO法人 引退馬協会
   ひだか・ホース・フレンズ
取材・文:片川 晴喜
編集・デザイン:椎葉 権成
監修:平林健一
制作:Creem Pan
著作:Creem Pan・GJ

Loveuma.

Loveuma.(ラヴーマ)は、2022年7月にグランドオープンした、株式会社Creem Panが運営する、メディア&コミュニティサイトです。人にとって馬がより身近な存在になることで引退馬問題が前進すると定義し、馬にまつわる情報発信と馬を身近に感じたいと思う人たちが交流できるスペースを提供しています。

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