【プロキオンS(G3)展望】武豊×怪物ヤマニンウルス登場! 過去2回大荒れ決着の小倉ダート1700m開催で平穏を築けるか
今年は過去2年大荒れの小倉1700mが舞台
7月7日にダート重賞のプロキオンS(G3)が行われる。毎年のように目まぐるしく施行条件が替わることで有名なレースだが、今年は小倉のダート1700mを舞台に開催される。
ちなみに同条件で行われた2021年の三連単は194万4140円、2022年も71万9650円と共に2着、3着に二桁人気が絡むなど大荒れの結果。今年はどうか、さっそく展望していく。
過去2年は大荒れの結果に終わった小倉開催のプロキオンSだが、今年は平穏決着が見込めるかもしれない。何故なら、ダート界の超新星ヤマニンウルス(牡4歳、栗東・斉藤崇史厩舎)がココに駒を進めてきたからだ。
4歳夏を迎えるヤマニンウルスだが、今回がまだキャリア5戦目になる。しかし、その内容はすべて強烈なインパクトを残すもの。デビューから無敗の4連勝と早くもこの馬がダート界No.1と評する声も上がるほどだ。
今回の小倉ダート1700mは、デビュー戦で2着ゴライコウを4.3秒も引き離して歴史的な圧勝を飾った舞台。ゴライコウも後のJBC2歳優駿(G3)を勝っているだけに、この馬の怪物ぶりがより鮮明になる。鞍上は主戦の武豊騎手。不完全燃焼に終わったドウデュースの宝塚記念(G1)の借りを返す絶好の機会になりそうだ。
昨年は中京ダート1400mの開催だったが、中距離戦に戻った以上「前走・平安S(G3)組」は無視できない。まずは1番人気だったスレイマン(牡6歳、栗東・池添学厩舎)を挙げる。
前走では門司S(OP)1着→アンタレスS(G3)2着の勢いが買われて1番人気に支持されたスレイマン。しかし、レースではいつも通り好位を追走したものの、最後の直線では本来の走りがまったくできず、10着に大敗している。
1着のミトノオーがハナを切っての逃げ切り。3着メイショウフンジンが2番手からの粘り込みだけに、3番手を進んだ大敗に主戦の斎藤新騎手も「敗因がわからない」と首を傾げざるを得なかった。もしかしたら1900mは微妙に距離が長かったのかもしれない。
ただ今回は4戦2勝2着1回3着1回と得意の1700m。西村淳也騎手との新コンビで巻き返しを誓う。
2着に善戦したハピ(牡5歳、栗東・大久保龍志厩舎)の名も挙げるべきだろう。
今春は天皇賞・春(G1)にも挑戦したハピだが、再びダートに戻った前走で本領を発揮。中団から上がり3ハロン最速の末脚で、勝ったミトノオーをクビ差まで追い詰めた。
一昨年のジャパンダートダービー(G1)で4着、チャンピオンズC(G1)で3着するなど、ダートでは一線級と言って良い強豪。しかし、勝ち切れない競馬が目立ち、勝利自体は一昨年5月の鳳雛S(L)を最後に遠ざかっている。陣営が芝のレースに挑戦させてみたのも、その辺りを払拭できればと思ってのことだろう。
ただ、予想するファンからすれば、この安定感はやはり魅力。ここでヤマニンウルスら強豪を破って重賞初制覇を飾るようなら、主役の一角として秋の大舞台を迎えられるはず。前走に引き続き菱田裕二騎手を鞍上に迎え、まずはさらなる賞金の加算をしておきたい。
3歳馬のブルーサン(牡3歳、栗東・川村禎彦厩舎)の挑戦は、今年のプロキオンSをさらに興味深くするものだ。
今年からJRA所属馬にも南関東のダート三冠競走が開放されたが、羽田盃(G1)の前哨戦となる雲取賞(G3)を快勝したのが、ブルーサンだった。しかし、羽田盃では前走の勢いを活かしたかったものの、本来の逃げが打てずに8着に惨敗している。
ただし、前走の鳳雛Sでは他馬よりも重い斤量を背負いながらも2着を確保と、ハナを切れた時のブルーサンは紛れもない世代トップクラスの実力の持ち主。今回の挑戦は3歳ダート界のレベルを測る絶好の機会にもなるだろう。
他にも前走の吾妻小富士S(OP)を快勝したブラックアーメット(牡6歳、栗東・角田晃一厩舎)、実績十分のグロリアムンディ(牡6歳、栗東・大久保龍志厩舎)、一昨年の同舞台を勝ったゲンパチルシファー(牡8歳、栗東・佐々木晶三厩舎)など、過去2回が大荒れに終わった舞台だけに、伏兵陣にもチャンス十分。
大荒れか、平穏か、注目のプロキオンSは7月7日の15時35分に発走予定だ。