【新潟2歳S(G3)展望】武豊、川田将雅、C.ルメールら不在で重賞制覇の大チャンス!? 菅原明良、永島まなみ、三浦皇成らWASJ裏開催を制すのは
昨年の覇者アスコリピチェーノは2歳女王に
25日には、新潟競馬場で新潟2歳S(G3)が開催される。2013年の勝ち馬ハープスターは、後に桜花賞(G1)を勝っただけでなく、フランスの凱旋門賞(G1)に挑むなど大きな活躍を見せた。さらに3年前のセリフォス、そして昨年のアスコリピチェーノと近年はさらに重要性が増している印象だ。
その一方で、この新潟2歳Sはワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)の裏開催となる。つまり、C.ルメール騎手や川田将雅騎手、武豊騎手といった超一流どころは開催地の札幌に集結しており、貴重な重賞勝利に飢える若手・中堅の騎手からすれば絶好のチャンスと言えるだろう。
筆頭はコートアリシアン(牝2歳、美浦・伊藤大士厩舎)に騎乗する菅原明良騎手だ。
今年6年目、今や重賞戦線の常連となっている菅原明騎手だが、今春はブローザホーンとのコンビで宝塚記念(G1)を制覇。待望のG1ジョッキーの仲間入りを果たした。これが通算重賞10勝目の区切りにもなった菅原明騎手だが、2歳重賞のタイトルはまだない。ここで勝利すれば、早期に強力なお手馬をゲットすることにもつながるはずだ。
コンビを組むコートアリシアンは6月の東京新馬(芝1600m)を快勝。レース後「スタートは遅れてしまいました」と振り返っている通り、スタートこそやや出遅れたが、結果的には2着馬に5馬身差をつける圧勝だった。上がり3ハロン33.3秒は、もちろんメンバー最速だ。「テンションが上がりやすそうで、その辺りを我慢して」と課題こそあるものの、直線の長いマイル戦で結果を出している強みは大きい。
スターウェーブ(牡2歳、美浦・武井亮厩舎)の三浦皇成騎手にもチャンスがありそうだ。
今春の宝塚記念を勝ったのが菅原明騎手なら、こちらはラムジェットとのコンビで東京ダービー(G1)を制覇。ダート三冠改革元年のダービージョッキーに輝いた。そんな三浦騎手だが、JRAのG1には未だ手が届いていない。ここを勝って、2歳王者へ大きく前進したいところだろう。
騎乗するスターウェーブも6月の東京新馬を勝ち上がった1頭だが、こちらは芝1400m。好位から上がり最速の末脚で抜け出す盤石なレースぶりだったが、ポイントはやはり200mの距離延長だろう。レース後に「今後のためにも距離を延ばしていきたい」と語っていた三浦騎手にとっては、さっそくそのチャンスがやってきた格好だ。マイル戦で結果を残せば、今後の展望も大きく開ける。
マジカルフェアリー(牝2歳、栗東・寺島良厩舎)の和田竜二騎手も重賞勝利に飢えているはずだ。
かつて世紀末覇王と言われたテイエムオペラオーとのコンビで競馬界を席巻した和田竜騎手。JRA重賞だけでも通算50勝を数えるなど、若手の菅原明騎手はもちろん、三浦騎手よりも格上の存在だが、JRAの重賞勝利は2022年のマーメイドS(G3)が最後。ここ2年以上、遠ざかっている。
コンビを組むマジカルフェアリーは先月の小倉新馬(芝1800m)を快勝。スタートこそ煽り気味だったが、上手く流れに乗ると、最後は最速の末脚で抜け出し、2着馬に2馬身差をつけている。こちらの課題はスターウェーブと逆に200mの距離短縮だ。初の長距離遠征を乗り越え、マイル戦の速い流れに対応できれば自ずと重賞制覇も見えてくる。
シンフォーエバー(牡2歳、栗東・森秀行厩舎)に騎乗する岩田康誠騎手は、オーナーの勢いに乗っていきたい。
JRA重賞111勝と和田竜騎手のさらに倍の勝利数を誇る岩田康騎手は、WASJに参戦していてもおかしくないトップジョッキーの1人だ。今年もホウオウビスケッツとのコンビで先月の函館記念(G3)を勝ち、さらにノースブリッジと札幌記念(G2)を勝つなど、勝負強さは健在。ここで結果を残して『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)でお馴染みの藤田晋オーナーとの関係を深めていけば、2018年の天皇賞・春(G1)以来となるG1制覇も近づいてくるはずだ。
今回が初騎乗になるシンフォーエバーは、今回と同じ新潟のマイル戦を勝ち上がっているところが大きなストロングポイントだ。デビュー戦はスピードの違いでハナに立つ競馬だったが、今回はどうか。先を見据えて馬群の中で競馬させるかもしれない。
トータルクラリティ(牡2歳、栗東・池添学厩舎)の北村友一騎手は、ここを復活のきっかけにしたいジョッキーだ。
かつてクロノジェネシスとのコンビで旋風を巻き起こした北村友騎手だが、ここ4年のJRA重賞勝ちは、わずか3勝。ただし、これは落馬負傷による長期離脱の影響が大きい。復活を期す今シーズンは、ここまで36勝と40勝に終わった昨年を上回ることはほぼ確実だ。
昨年の新潟2歳Sでは、北村宏司騎手がアスコリピチェーノとのコンビで5年ぶりの重賞制覇。勢いそのままに阪神ジュベナイルF(G1)でG1・4勝目も飾るなど、復活を大きくアピールした。今年は北村友騎手がそんな流れに乗っていきたい。
そんな北村友騎手が期待をかけるトータルクラリティは6月の京都新馬(芝1600m)を勝利。「返し馬で上ずるところを見せていた」と課題はあるものの3番手から上がり最速の末脚を繰り出すレースセンスは抜群。クロノジェネシスと同じバゴ産駒ということも縁を感じるのではないだろうか。
他にも今春のヴィクトリアマイル(G1)で待望のG1初制覇を飾った津村明秀騎手はプロクレイア(牝2歳、栗東・小林真也厩舎)に、マーメイドS(G3)で重賞初制覇を飾った若手の永島まなみ騎手はスリールミニョン(牝2歳、栗東・高橋康之厩舎)にそれぞれ騎乗する。
果たして勝つのは、今春の勢いに乗る騎手か、ここを復活のきっかけにしたい騎手か、それとも……。出世レース・新潟2歳Sは25日の15時45分に発走。WASJに出られなかった騎手たちの下剋上にも注目したい。