武豊騎手が交流重賞「完全制覇」まで、あと5つ。地方競馬で”神騎乗”を繰り返す天才のカウントダウンに「最後」まで残りそうなのは……
王道のダート2000mのレースなので一見、武豊騎手のお手馬でいえばコパノリッキーやアウォーディーが仮に出走すれば、あっさり勝ってしまう可能性が高いようにも見える。
しかし、このマーキュリーCは何故か武豊騎手にとって不思議と”縁”のないレースでもある。何度も挑戦しては敗れているというわけではなく、2011年に2着に敗れてからはここ6年間、出場すらしていない。
何故なら、おそらく同レースのほぼ3週前に同距離のG1帝王賞が開催されているからだ。つまりコパノリッキーやアウォーディーといった、同レースを簡単に勝てそうな馬は、基本的にそちらへ出走するということなのだろう。
帝王賞を5勝している武豊騎手がマーキュリーCに未だ手が届いていない理由は、まさに「そこ」にあるというわけだ。
また、歴代の勝ち馬を見ると、かつて武豊騎手が主戦を務めていたカネヒキリの名がある。G1を7勝するほどの名馬だったカネヒキリは、2010年のこのレースを5馬身差で楽勝しているが、鞍上は横山典弘騎手だった。
カネヒキリには3歳春以降ずっと騎乗していた武豊騎手だが、本馬が6歳のジャパンCダート(G1、現チャンピオンズC)に出走する直前、武騎手が落馬骨折。代役にはC.ルメール騎手が選ばれ、見事7つ目のタイトルを手にすると以後、武豊騎手が本馬に騎乗することはなかった。
カネヒキリがマーキュリーCを楽勝したのは、その翌年のことである。
このように”運命的”にも、何故か縁がなさそうなマーキュリーC。いつでも勝てそうで、意外に勝てない同レースが、武豊騎手の歴史的大偉業の「最後の砦」になる可能性は高そうだ。