香港ヴァーズで2年連続「キセキ」が起こる!? 打倒ハイランドリールへ陣営がM.デムーロ騎手に「絶対に伝えておきたい情報」とは
今夏、最大の上がり馬としてクラシック最終戦を制し、菊花賞馬の座を掴み取ったキセキ(牡3歳、栗東・角居勝彦厩舎)が、今度は日本を代表して10日に行われる香港ヴァーズ(G1)に挑戦する。
この秋、旋風を巻き起こしている「強い3歳馬」の中でも、ひと際底知れないスケールを感じさせるキセキ。歴史的な不良馬場で行われた菊花賞のダメージが心配されたが、2日に行われたチャレンジC(G3)で出走組のサトノクロニクルとブレスジャーニーが1、3着。世代の能力の高さを示すと共に、ダメージの心配も払拭する快走だった。
ならば状態面の心配は無用か。菊花賞後、放牧を挟んだキセキは先月29日に国内最終追い切りを消化。栗東の坂路4ハロンを54.1秒、ラスト12.7秒と、馬なりのまま軽快に駆け抜けた。時計こそ目立ったものではないが、陣営は「いい状態」とコンディションに自信を深めている。「あとは輸送だけ」とその視線は、すでに決戦の地シャティン競馬場に向けられていた。
先日のジャパンC(G1)では、同じ2400mの神戸新聞杯(G2)で2馬身差をつけられたレイデオロが2着。勝ったシュヴァルグランに屈したものの、現役王者キタサンブラックに先着を果たすなど、互角以上の戦いを演じた。キタサンブラックとはクビ差だったが、4着マカヒキとは4馬身差。単純計算なら、キセキがこの辺りを走っていてもおかしくはない。
ただ、その神戸新聞杯にしても結果的には完敗だったものの、キセキにとっては苦しいレースだった。
まず、課題のスタートでやや出遅れて後方からの競馬を余儀なくされたこと。その上で主戦のM.デムーロ騎手がレース後に「ペースが遅い」と指摘した通り、1000m通過が61.4秒というスローペース。そんな流れで後方からの競馬を強いられたキセキに対して、レイデオロは積極的に好位に付けている。無論、ダービー馬の競馬の上手さも実力の内だが、キセキにはやや不利な流れだった。