天皇賞・春(G1)ガンコ「覚醒」は伝説の名馬級!? 藤岡佑介騎手「宿敵」クリンチャーに学んだ”極意”で「武豊超え」の驚愕成績

 世界最高の種付け料を誇るディープインパクトを筆頭に、ハーツクライやキングカメハメハなどの良血馬が闊歩する競馬界で、血統面や環境面で恵まれた立場にない馬が割って入るのは文字通り、至難の業だ。

 しかし、例えば昨年引退したキタサンブラックがそうであるように、常識的な”ハンデ”を吹き飛ばして活躍する馬には、それだけで多くのドラマが付いて回る。

 極論すれば、その存在自体がすでに競馬の常識をいくつも覆した、奇跡的な存在なのだ。

 29日に京都競馬場で開催される天皇賞・春(G1)に「この春最大の上がり馬」として彗星のごとく現れたガンコ(牡5歳、栗東・松元茂樹厩舎)もまた、すでに「ここまで来た」というだけで十分に奇跡的な存在になっている。

 ガンコが産まれたのは、北海道新ひだか町の前谷牧場。代表の前谷武志さん、母・ひろみさん、息子・卓也さんの家族3人で、数十頭の馬を育てている小規模牧場だ。

 前谷牧場といえば、1995年に新潟2歳S(G3)を勝ったタヤスダビンチが有名で、長年唯一の重賞ホースだった。ただ、この馬の活躍がきっかけで、息子の卓也さんは父の跡を継ぐ決意を固めたという。東京農大を卒業後、ダーレーファームでノウハウを学んでいたが、2008年に父が作業中に負傷したことがきっかけで前谷牧場に戻ったという。

 ただ、それがきっかけで牧場の時間は大きく動きだす。

 帰ってきた卓也さんは夜間放牧やウォーキングマシンを導入するなど、前谷牧場に次々と改革をもたらした。そんな中、ガンコの配合に関してもステイゴールドの血を求めた中から、「小さな母の馬格を補える種牡馬」としてナカヤマフェスタを選んだという。無論、種付け料も考慮しての選択だったが、結果的にはこれが大当たりだったということだ。

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