今年の競馬に見たディープインパクト産駒の「進化」 数々の弱点克服の裏に「人」と「馬」が織り成す『人馬一体』の理念が
例えば、これまで【0.2.1.10】と「ディープインパクト産駒の苦戦データ」がはっきりとしていた皐月賞は、その典型だろう。
先述した通りディープインパクト自身も苦手とした中山コースだったが、ご存知の通り、今年4月の皐月賞はディープインパクト産駒のワン・ツー・スリーと馬券圏内を独占。”苦手”克服どころか、完全に手の内に入れたとさえ思える圧巻の結果だった。
もちろん、これだけではない。それから約1カ月後、今度はフランスのイスパーン賞(G1)で父が苦戦した欧州の馬場、それも雨が降ってさらにパワー要する状況で産駒のエイシンヒカリが、レーティングで世界一に評価される異次元のパフォーマンスで圧勝。
さらには春競馬を締めくくる宝塚記念(G1)もこれまでディープインパクト産駒が勝利したことはなかったが、昨年に2、3着すると、今年はマリアライトが強豪を押し退けて勝利。このレースも雨の影響で稍重と、いつも以上にパワーを要する馬場だった。
これまでのディープインパクトは鋭い切れを身上とする分、雨や急坂といったパワーを要する条件に脆い。これは以前までの確かな「結果」の蓄積であり、データ派にとって有用な馬券戦術の一つだったはずだ。
しかし、この夏競馬になっても、ディープインパクト産駒の”進化”の傾向は止まらない。今度は【0.2.0.6】と、これまたディープ産駒と縁のなかった七夕賞(G3)でワン・ツーを決めると、苦手だった先週の函館記念(G3)でも2頭しかいなかったディープ産駒の内、13番人気のケイティープライドがあっさりと2着を確保。大波乱の立役者となっている。
ここまで結果が出ると、もうディープインパクト産駒の弱点といわれていた「パワーのなさ」を気にする必要はないのかもしれない。それにしても何故、ここにきて大きな進化を遂げることができたのだろうか。
どうやら、その答えは「馬」ではなく「人」にあるようだ。