【緊急企画】「千載一遇のチャンス」マカヒキが14着大敗……凱旋門賞で「何」があったのか。今年の日本ダービー馬は「本当に弱いのか」徹底検証
下田:記事に『凱旋門賞当日には仮柵が移動し、インコースにまったく傷みのない芝による「グリーンベルト」が現れることから、戦前から「インコースの前目で競馬できた馬が圧倒的に有利」といわれている』と書かれていますが、まさにその通りです。ただ、それは戦前からわかっていたこと。マカヒキの14番スタートに友道調教師もルメール騎手も「枠順は問題ない」とおっしゃられていましたが、決してベストと思っていなかったのではないでしょうか。
記者:確かに、終始外々を回らされる苦しい展開でした。
下田:レースを見ましたが、出走馬の中でも最も苦しい競馬をした一頭でしょうね。結局最後まで内に入れてもらえませんでしたが、これも『何らかの対策を想定して挑まなければ、最悪外々を回らされてズルズルとポジションを下げる可能性がある』と書かれている通りです。
記者:スタート直後は5、6番手といった好位にいますが、コーナーを回るたびに順位を落として4コーナーを回って直線に向かった頃には10番手以下までポジションを落としていました。
下田:はい。最終的にインコースの前にいた馬で決まっていますし、まったく逆のアウトコース後方にいたマカヒキは、この時点で絶望的でした。
記者:予め対応策はなかったのでしょうか。
下田:あったと思います。例えば、記事にも記載されている昨年の勝ち馬ゴールデンホーンのような極端な競馬。デットーリ騎手は、今年も同じ作戦を用いて人気薄のオーダーオブセントジョージを3着に導いています。
記者:確かに今年のオーダーオブセントジョージも昨年の凱旋門賞のゴールデンホーンと同じように、スタート直後は一頭だけポジション争いに参加せず、コースの外側を走っていましたね。それで後からすんなり、好位の3番手につけています。
下田:オーダーオブセントジョージは、マカヒキよりもさらに外の16番からのスタートでしたからね。ルメール騎手にもポジション取りをより重視して、ああいった大胆な騎乗を期待したのですが……。
記者:なんというか枠なりに競馬していましたね。それが間違っていたと。
下田:いえ、おそらくはマカヒキのリズムを重視したと思いますが、私が見た限りルメール騎手には「小さな誤算」と「大きな誤算」が1つずつあったと思います。