【徹底考察】チャンピオンズC(G1) アウォーディー「武豊騎手と共に掴んだダート界の新王者。だが『最大のライバル』との勝負付けはまだ終わっていない」
ホッコータルマエ、コパノリッキー、アウォーディーの3頭が並ぶようにして最後の直線へ。まず苦しくなったのが、真ん中のコパノリッキーだった。田辺裕信騎手が懸命にムチを入れるが、明らかに脚色が鈍って脱落していく。
対象的に、それに合わせるようにホッコータルマエを交わして、先頭に躍り出たアウォーディーの手応えは抜群だった。ホッコータルマエも必死に食い下がるが、先頭が入れ替わる気配はない。川崎の直線は短く、サウンドトゥルーとノンコノユメがコパノリッキーを交わしたところで、アウォーディーが先頭のままゴールに飛び込んだ。
完全なる正攻法でコパノリッキーを競り落とし、渾身の粘り込みを図ったホッコータルマエを楽に交わしてのゴール。着差こそ、わずか3/4馬身差だったが「もう100mあったとしても、その差は開く一方」と思わせるだけの完勝劇だった。
【血統診断】
本馬が昨年のシリウスS(G3)を勝つまで、ジャングルポケット産駒の重賞勝利はすべて芝コース。ジャングルポケット×サンデーサイレンスという配合にも、天皇賞・春(G1)を勝ったジャガーメイルや毎日王冠(G2)勝ちのエアソミュールなど芝の一流馬ばかりだ。
ただ、凱旋門賞馬トニービンを父に持つジャングルポケットの産駒の中で、何故アウォーディーだけがダートで活躍しているのかということに関しては、血統的にはある程度の答えが見えている。
例えば、父ジャングルポケットの母父Nureyevと母ヘヴンリーロマンスの母父Sadler’s Wellsは、1999年の凱旋門賞(G1)で2着なったエルコンドルパサーの血統にも含まれている。そして、そのエルコンドルパサー自身は芝ダート兼用で種牡馬としても菊花賞馬のソングオブウインドを送り出す一方で、ダート王のヴァーミリアンが代表産駒となっている。