【徹底考察スペシャル】香港スプリント(G1) ビッグアーサー「『最低の騎乗』といわれる前走の本当の敗因とは?世界のR.ムーア騎手を背に言い訳の効かない一戦に挑む」
『考察』
最大の懸念材料が「最高の形で決着した」と述べても過言ではないだろう。
6日、落馬負傷した主戦の福永祐一騎手に替わって香港スプリント(G1)で騎乗するのがR.ムーア騎手に決まった。
当初は福永騎手とのコンビで初の海外遠征が予定されていたビッグアーサーだが、主戦騎手が先週3日に落馬負傷。鞍上が空白となっていたが、この日、世界No.1騎手を手配することができた。無論、ビッグアーサーと手が合うのかは未知数だが、少なくとも皆が納得できる騎手を手配できた意義は非常に大きい。
これで当面の憂いを断てた春のスプリント王だが、13戦8勝2着2回3着1回を誇る”準パーフェクトホース”が、統一スプリンターとして君臨できていないのは、生涯初の大敗を喫した前走があったからだ。
10月2日に中山競馬場で行われたスプリンターズS(G1)は、本馬にとってまさに悪夢のようなレースだった。
今春の高松宮記念(G1)で初のG1制覇を飾り、スプリント王に君臨したビッグアーサー。この秋も前哨戦のセントウルS(G2)も完勝し、まさに長期政権を築かんと迎えたスプリンターズSだった。単勝は1.8倍である。
だが、結果は12着大敗。生涯で初めて掲示板を外す憂き目に遭った。
最大の敗因は述べるまでもなく明らかで、福永騎手が最後の直線で行き場をなくしたことに尽きる。レース後、本人が「最低の騎乗」と語ったように、1つのミスが致命傷となるスプリント戦の恐ろしさを改めて知らしめることとなった。
具体的に何があったのか、レースを振り返ってみたい。
まず、本馬が1枠1番からのスタートだったことは極めて大きな要因だったといえるだろう。
下手に包まれたくないという思いから、スタートを押っ付け気味に出して行ったビッグアーサーだが、ミッキーアイルやネロ、ソルヴェイグといった面々はさらに速く先頭集団を形成。結局、本馬はこの”壁”を突破できることなくレースを終えることになる。