藤田菜七子にも「フリー」の噂…JRAの介入で東西トレセンに激震! 調教師たちが「悲鳴を上げた」止むに止まれぬ厩舎経営の舞台裏

 東西のトレセンに激震が走りそうだ。

 武豊騎手や今月一杯で引退する福永祐一騎手、女性騎手として大きな注目を集めている今村聖奈騎手など、競馬に欠かせない存在である「騎手」。そんな騎手たちは例えば武豊騎手や福永騎手はフリー、今村騎手は寺島良厩舎所属のように、フリーと厩舎所属の2通りの形式がある。

 一般的に新人騎手としてデビューする際、東西のどこかしらの厩舎に所属する。現役引退まで山本正司厩舎の所属騎手だった松永幹夫調教師のような例外もあるが、実力や経験を積んだタイミングでフリーへと転向するケースが多い。

 厩舎に所属する騎手は、自厩舎の馬に騎乗する機会に恵まれ、騎乗馬の確保がしやすいのに対し、厩舎に所属していないフリーの騎手は、自分の実力で騎乗馬を確保しなければならない。

 ただ、所属の場合は調教師に馬を用意してもらえるメリットがある代わりに、自厩舎の馬に優先して乗る必要があるため、他厩舎の有力馬に騎乗が出来ないこともある。フリーの場合は、そういったしがらみもないため、実力さえあれば東西に関係なく有力馬に騎乗することも可能だ。一度はフリーになったものの、思うように騎乗馬を確保することが出来ず、所属に戻る騎手もいる。

 そして現在、栗東や美浦の東西トレセンでは、厩舎に所属している騎手の扱いが問題となっている。所属騎手からフリーになる流れは今に始まったことではないが、一体何があったのだろうか。

調教師たちが「悲鳴を上げた」厩舎経営の舞台裏

「実は、これまで所属騎手の給料は多くの場合、調教師と騎手との口約束で決まっていたんです。例えばレースで稼いだ進上金とは別に、ひと月5万や10万といった感じで調教師から渡されていました。中には通帳を調教師が管理するパターンなどもあり、どちらかというとアバウトな給与体系に近かったと思います」(競馬記者)

 ところが、こういったグレーゾーンの状況にJRAからの指示が入り、実質的に厩舎の“社員”である助手や厩務員などと同じく、所属年数によって支払われる額が変わることになったらしい。そのため、デビューから何年も厩舎に所属している騎手の場合、調教師は年数に応じた額を支払わなければならず、事実上の賃上げとなる。世間的にも賃金アップが叫ばれているだけに、歓迎すべき話と思われるのだが、そうなると大変なのは“社長”である調教師の方だという。

「これまでは管理馬の調教を手伝ってもらい、競馬で乗せる代わりに比較的リーズナブルな給料で所属させていたものの、これまで以上の給料を支払わなければならなくなるため、『それなら所属として雇えない』と一部の調教師たちから悲鳴が上がったようですよ。その関係でこれから続々と中堅や若手の騎手がフリーになると言われていますが、中でも関東の根本康広調教師と小桧山悟調教師は大変だろうという噂です。

根本厩舎は丸山元気、野中悠太郎、藤田菜七子の3人が所属騎手。小桧山厩舎には山田敬士と原優介という2人の騎手が所属していますが、デビューを控えている新人騎手もいます。厩舎経営を考えると、彼らを全員所属のままにしておく事は難しいと思われているだけに、何かしらの動きがありそうです」(同)

 勿論、これは関東に限らず関西でも同様なのだが、過去にも騎乗機会を求めて栗東に移籍した関東の騎手がいたように、美浦は人を育てる土壌が整っていないという声も相変わらず根強い。そういった背景も相まって、若手騎手や新人騎手の受け皿が限られているだけに、複数の所属騎手を抱える関東の厩舎に、より大きな影響がありそうだ。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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