今村聖奈「ジジイ2人」武豊、福永祐一の襲来で急ブレーキ!?“台風一過”の大チャンス到来もまさかのアクシデント…
「平場はオレと祐一しか勝ってへんやん。今日はジジイの日やな――(笑)」
前日4日のことだ。ローカル開催の小倉に武豊騎手と福永祐一騎手が揃い踏みした1日は、話題だけでなく勝ち星まで独占した。冒頭は3勝目をゲットした7Rの後に武豊騎手から飛び出した“オヤジギャグ”である。
競馬界を代表する超一流ジョッキーの競演に、小倉に詰めかけたファンは大満足だったに違いないが、たまらないのは中京や東京といった激戦区を避け、ここを主戦場としているジョッキーたちだ。
中でも、2年目の今村聖奈騎手にとっては厳しい1日となってしまった。
昨年、新人歴代4位の51勝を挙げて、競馬界のニューヒロインとして注目を集めた今村騎手。2年目を迎えた今年もここまで7勝と順調なスタートを切っていた。特にトップジョッキーの少ない小倉では、3週連続勝利中と絶好調。4週連続が懸かったこの日も勝ち星量産を目論んでいたはずだが、思わぬ超大物の来襲に飲まれてしまった格好だ。
結果的に8鞍に騎乗して2着2回に終わってしまった今村騎手だが、その2着がそれぞれ武豊騎手と福永騎手の勝利に花を添えるものなのだから笑えない。尊敬する武豊騎手と福永騎手の活躍に異例の盛り上がりを見せたこの日の小倉だったが、他のジョッキーたち同様に季節外れの“台風”をやり過ごす他なかった。
そして、迎えた翌日は武豊騎手も福永騎手も不在の“台風一過”である。
“台風一過”の大チャンス到来もまさかのアクシデント…
再び勝ち星を伸ばしたい今村騎手は8鞍に騎乗したが、中でも期待されたのが3Rの4歳以上1勝クラスに挑むペイシャカレン(牝4歳、美浦・粕谷昌央厩舎)だった。
「二の脚が速かったですね」
そう今村騎手が振り返った前走は、今回と同様小倉のダート1000mだった。二の脚を利かせて果敢にハナを切ると、最後は勝ち馬に交わされたものの惜しい2着。今村騎手も「平坦の1000mは合うけど『息が入らないところがある』と聞いていましたが、単騎なら息が入りました」と手応えを掴んでおり、今回も積極果敢な単騎逃げを目論んでいたはずだ。
そんな前走の再現には、スタートが何よりも肝心。枠順も前走と同じ7枠11番と縁起が良かったはずだが、スタート直前にまさかのアクシデントが待っていた。「普段はスタートが上手なペイシャカレンですが、どうしてしまったんでしょうか」と話すのは記者だ。
「ゲートの中で落ち着きがない時点で少し嫌な予感がしましたが、まさかゲートを潜り抜けて放馬するとは思いませんでした。暴れている最中は鞍が大きくズレていましたし、今村騎手も何とかしたかったのでしょうが、あれは仕方ないですよ……。
幸い、今村騎手に大きなケガはなかったようですが、除外になる前は2番人気でしたし、色々な意味で痛いレースになってしまいました」(競馬記者)
ちなみに、レースはハナを切ったデルマシルフがそのまま逃げ切り勝ち。競馬にタラレバは禁句だが、今村騎手でなくともペイシャカレンが無事にハナを切れていればと考えてしまうのも仕方ない。
結局、この日も0勝に終わってしまった今村騎手。競馬界の次代を担うニューヒロインも、今週末ばかりは踏んだり蹴ったりの結果になってしまった。