キタサンブラック、ドゥラメンテ、サトノクラウン……躍動する“15年クラシック組”で唯一存在感なし!? ディープインパクト「後継種牡馬」の現在地

撮影:Ruriko.I

 今年の3歳クラシック戦線は牡馬・牝馬ともに初戦を終えた。目立ったのは、2015年の牡馬クラシックで覇権を争った馬たちの産駒による活躍だ。

 桜花賞(G1)でドゥラメンテ産駒のリバティアイランドが圧勝すると、皐月賞(G1)ではキタサンブラック産駒のソールオリエンスが無傷の3連勝で戴冠した。さらにその皐月賞でソールオリエンスの2着に入ったのは、サトノクラウン産駒のタスティエーラだった。

 3頭の中で最も早く種牡馬入りしたのは現役時代にクラシック二冠を達成したドゥラメンテだ。初年度の産駒から菊花賞馬タイトルホルダーが誕生。2年目に二冠牝馬スターズオンアース、そして3年目にリバティアイランドと立て続けにクラシックホースを輩出した。

 ドゥラメンテ不在の15年菊花賞(G1)を制したのがキタサンブラックだった。春は皐月賞3着、ダービー14着に敗れたが、3歳秋以降に才能が開花。菊花賞を皮切りに中長距離の王道路線でG1タイトルを7つも獲得した。

 種牡馬としては、イクイノックスとソールオリエンスという“怪物級”2頭をすでに輩出している。

 15年の皐月賞でドゥラメンテ、キタサンブラックらを抑えて1番人気に支持されたのはサトノクラウンだった。クラシックでは勝利こそなかったが、古馬になってから本格化。4歳秋に香港ヴァーズ(G1)、5歳春に宝塚記念(G1)を勝っている。

躍動する“15年クラシック組”で唯一存在感なし!?

 そんな「15年クラシック組」が種牡馬としてしのぎを削る中、すっかり存在感を失ってしまったのはリアルスティールだ。

 牡馬三冠レースでいずれも2番人気に支持されたディープインパクト直仔のリアルスティールだが、皐月賞と菊花賞で2着に惜敗。ダービーでも4着に敗れ、クラシック制覇には手が届かなかった。結局、国内ではG1未勝利に終わったが、4歳春にドバイターフを勝ってG1馬の仲間入りを果たしている。

 引退後はサトノクラウンと同じ19年シーズンから種牡馬入り。父ディープインパクトの有力な後継候補の1頭として送り出した現3歳世代が初年度産駒である。

 リアルスティールの種牡馬としての期待の高さは、種付け頭数と種付け料に表れている。1年目からの種付け頭数は、177→176→173→151頭と高い水準で推移。種付け料も1年目から200万→250万→250万→300万→300万円と徐々に上がっている点は見逃せない。

 初年度産駒は先週までに85頭がJRAでデビューし、うち30頭が勝ち上がっている。現時点の代表産駒は昨年11月のデイリー杯2歳S(G2)を制したオールパルフェだろう。自慢のスピードを武器に朝日杯フューチュリティS(G1)で4番人気に支持されて6着に敗れると、今年初戦のスプリングS(G2)でも7着に敗れて評価は急落。次走のNHKマイルC(G1)で巻き返しが期待されている。

 結局、躍動する15年クラシック組の種牡馬の陰で、リアルスティールは桜花賞と皐月賞にその産駒を送り込むことはできなかった。

 やや低迷気味といっていいリアルスティール産駒だが、今後巻き返す可能性は十分残っている。来月のダービーもしくは菊花賞に向けて楽しみな存在とされるのが、3戦1勝のレーベンスティールだ。

 何といっても光るのは昨年11月の新馬戦。3連勝で皐月賞を制したソールオリエンスと接戦を演じ、クビ差の2着に入っている。12月に2戦目で順当に勝ち上がったが、確勝を期した3月の3歳1勝クラスでは不良馬場に苦しんで2着に惜敗した。

 次走については未定だが、関東馬だけに来月6日に東京で行われるダービートライアル・プリンシパルS(L)に出走してくる可能性もゼロではない。

 現役時代のライバルたちに比べると、存在感を発揮しきれていないリアルスティール。皐月賞馬に肉薄したレーベンスティールが巻き返しへの切り札となるのか。苦境の中にあっても希望の光は見えている。

GJ 編集部

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