一夜にして消し飛んだ「ガッカリ世代」の風評被害! 三冠馬候補登場に沸き立つクラシック…秋にはイクイノックス、ドウデュースとの直接対決を望む声

撮影:Ruriko.I

 桜花賞(G1)はドゥラメンテが優勝して2着にキタサンブラック。皐月賞(G1)はキタサンブラックが優勝して2着にサトノクラウンが入った今年のクラシック第一戦。これだけだと何の意味か分かりにくいかもしれないが、こちらはそれぞれの着順に入った各馬の父親の名前だ。

 彼らが覇を争ったのは8年前となる2015年。世代を代表するもう1頭のリアルスティール産駒は、まだ初年度ということもあってか不在だが、いずれ引けを取らない大物が登場することに期待したい。

 一時代を築いたディープインパクトとキングカメハメハといった超大物種牡馬がこの世を去ったこともあり、後継種牡馬を巡る次世代の争いが激化する一方だが、早い段階からクラシックを優勝するような産駒が現れたのは喜ばしい限りである。

 だが、皐月賞が始まるまでは、3歳世代の雲行きが非常に怪しかったのも事実。何しろ昨年の2歳重賞で波乱が続出し、春のトライアルレースでも勝ち馬の名前が目まぐるしく変わっていったからだ。

 牝馬のリバティアイランドに関しては、昨年から抜けた存在と見られていたものの、牡馬の場合は14番人気の超大穴だったドゥラエレーデがホープフルS(G1)を優勝していただけでなく、今春も海外のUAEダービー(G2)に向かい2着。朝日杯フューチュリティS(G1)を優勝したドルチェモアも、NHKマイルC(G1)を視野に入れたニュージーランドT(G2)で復帰したものの、7着に惨敗していたばかり。大物候補と期待された馬達が、あっさりと期待を裏切るケースも多かった。

 その結果、今年の皐月賞は近年稀に見る大混戦となり、まさにどの馬が勝ってもおかしくない状況へと陥っていた。

 既に敗戦した馬の成績を振り返ってみても、アルテミスS(G3)で不覚を取ったリバティアイランドのように、「展開のアヤ」が敗因といえるものもなく、このままニューヒーローが登場しなければ、暗黒時代にもなりかねない状況だったといえるだろう。

 その一方、唯一の救いがあったとしたら、まだ負けを知らない無敗馬が存在していたことではないだろうか。

 それは、3連勝でこの舞台に挑んだスプリングS(G2)の勝ち馬ベラジオオペラ、新馬から京成杯(G3)を連勝したソールオリエンス、そして新馬から若駒S(L)を連勝したマイネルラウレアの3頭だ。

 もし、これら無敗馬以外が皐月賞を優勝していたら、ここまで盛り上がることはなかった可能性すらあった。

ソールオリエンス 撮影:Ruriko.I

 3番人気ベラジオオペラは10着、11番人気マイネルラウレアは14着と振るわなかったものの、最も上位となる2番人気に支持されたソールオリエンスは、ファンの度肝を抜く圧巻のパフォーマンスを披露して優勝。京成杯から皐月賞直行のローテーションは、これまで勝った馬が1頭も出ていなかったことも懸念されたのだが、規格外の走りで「負のジンクス」を過去のものにした。

 その結果、一夜にして3歳牡馬の「世代レベルに対するガッカリ感」は消し飛んでしまった。敗れたライバルたちへの物足りなさは残りつつも、無敗の三冠馬まで期待できそうな大物の登場は、この秋が非常に楽しみになるニュースだったのではないか。

 まだ一冠目が終わったタイミングで、牡牝両方の三冠達成を望むのは些か気が早いかもしれないが、もしこのまま順調に勝ち星を伸ばすようなら、イクイノックスやドウデュース、タイトルホルダーらとの直接対決もありそうだ。

 もし実現するようなら、アーモンドアイとコントレイルやデアリングタクトの激突が大きな注目を集めた、3年前のジャパンC(G1)級の盛り上がりを期待できるかもしれない。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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