横山典弘の選択は「後方ポツン」か積極策か? G1史上初の親子ワンツースリーかかる天皇賞・春、武豊ら「5爺」の手腕に期待

マテンロウレオ 撮影:Ruriko.I

 30日に京都競馬場で行われる天皇賞・春(G1)。リニューアルオープンした京都で初めてのG1開催であり、有力視されるジャスティンパレス、タイトルホルダー、アスクビクターモアの出走で大きな盛り上がりを見せるだろう。

 そんな中、タイトルホルダーには横山和生騎手、アスクビクターモアには横山武史騎手が騎乗を予定しており、横山兄弟によるG1ワンツーにも期待できそうだ。もしそうなれば、M.デムーロ騎手とC.デムーロ騎手の兄弟(2013年桜花賞、2022年エリザベス女王杯)、武豊騎手と武幸四郎騎手の兄弟(2013年秋華賞)に次ぐ4例目となるG1での快挙となる。

 さらに今回は、2人の父である横山典弘騎手もマテンロウレオとのコンビで出走を予定しているため、場合によってはJRA史上初の親子3人によるG1でのワンツースリーさえあるかもしれない。

 ただ、一部のファンから懸念されているのは、横山典騎手がどのような作戦を練ってくるかだろう。

横山典弘騎手の選択は「後方ポツン」か積極策か?

 マテンロウレオと挑んだ前走の大阪杯(G1)では、積極的なポジション取りから見せ場十分の4着に食い込み、円熟味のある手腕でファンを唸らせた横山典騎手だが、息子と同じレースに騎乗した際には、時折父親の顔を見せることもある。

 これまでレース中に息子を“チラ見”していたのではないかと話題になることも何度かあり、そちらについてはネットの掲示板やSNSなどで「レースに集中して」「やっぱり気になるよねえ」というファンの声も出ていた。実際のところはどうかわからないものの、父子で騎手という同じ職業なだけに、少なからずそういった受け取り方をされても仕方ないといったところか。

 ちなみに、横山父子2人、もしくは3人がG1レースで競演したケースはこれまでに26回。比較的人気薄の馬に騎乗していることも関係していると思われるが、横山典騎手の成績は0-2-2-22ともうひとつだ。

 これだけならそれほど不思議なことではないとはいえ、やはり気になるのは横山典騎手が色々な意味で注目されるいわゆる「後方ポツン」である。横山典騎手は他の騎手以上に馬のリズムやコンディションを優先することでも知られており、騎乗馬の気持ちがレースに向いていない場合や状態に不安を感じた際、後々のダメージを考慮してか少し離れた後方から回ってきただけのようなポジション取りをすることがあり、それに由来して、「後方ポツン」と言われることがある。

 横山典騎手からすれば、特別なことをしている訳ではないのだろうが、馬券の販売される競馬だけに、こういった消極的なポジション取りに対し、快く思わないファンが現れてもやむを得ない部分もある。

 ただでさえ、そういった先入観を持たれている人物が、親子競演のあった26回のうち半分の13回で後方待機策を選択していたのだから、3人揃って騎乗する天皇賞・春で「後方ポツン」を心配するファンがいてもおかしくないはずだ。

 さらに調べてみたところ、横山典騎手が「後方ポツン」を選択したレースは、和生騎手もしくは武史騎手が上位人気馬に騎乗しているケースが多いことも分かった。その逆、横山典騎手の騎乗馬が息子2人より上位人気の場合は、横山典騎手が積極的なポジション取りをするケースが目立っている。

 先述した大阪杯は横山典騎手が8番人気、和生騎手は10番人気のダノンザキッドに騎乗していたが、マテンロウレオはしっかり先行策を採っていた。当然ながら騎乗馬の脚質なども関係するため、一概にそうだとはいえないものの、少なくとも過去の傾向を踏まえると、天皇賞・春は息子2人の騎乗馬が上位人気と考えられるため、それらより後ろのポジションとなる可能性も高そうだ。

 和生騎手のタイトルホルダー、武史騎手のアスクビクターモアは、どちらも菊花賞馬であり、好走以上の期待ができそうな今年の天皇賞・春。これに横山典騎手のマテンロウレオが加わって、親子3人によるG1レース上位独占ともなれば、とんでもない偉業となる。同じく人気薄が予想されるヒュミドールと平成の盾男・武豊騎手のコンビも参戦するだけに「5爺※」メンバー2人の巧みな手綱捌きに期待したいところだ。

※武豊騎手曰く、現役騎手最年長の柴田善臣騎手(56歳)、小牧太騎手(55歳)、熊沢重文騎手(55歳)、横山典弘騎手(55歳)、武豊騎手(54歳)ら5人の意味

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