名伯楽に奇妙な縁あり? 史上初のダービー連覇トレーナーを後押しする要素とは
6日に京都競馬場で行われた京都新聞杯(G2)で「東上最終便」に飛び乗ったのは1番人気のサトノグランツ(牡3、栗東・友道康夫厩舎)だった。
直前に雨が降り始めた京都新聞杯は、1000m通過が63.8秒という超がつくスローペースで進んだ。サトノグランツは折り合いを欠かず「自分の競馬に徹しながら、最後はよくつかまえてくれました」と話した川田将雅騎手に鼓舞されながら、上がり3ハロン33秒3の瞬発力で、クビ差勝利。4着までタイム差なしという大接戦から抜け出し、3連勝。滑り込みで夢の舞台への切符を掴んだ。
サトノグランツを管理する友道調教師は「きっちり勝ってくれて、一戦ごとに力をつけています。これからもまだまだ良くなると思います」とサトノグランツを労い、ダービーへの自信をのぞかせた。
もし、サトノグランツで日本ダービー(G1)に挑むのであれば、友道調教師は昨年の公言通り、前人未到のダービー連覇に挑戦することになる。
友道調教師は、最多のダービー3勝を誇る名伯楽だ。2016年にマカヒキで初めてダービーを制覇し、その後2018年にワグネリアン、そして2022年にはドウデュースで勝利を収めている。現役のどの調教師よりもダービーの勝ち方を熟知していると言えるだろう。去年、ドウデュースで優勝した時には、「ダービーを連覇した調教師は過去にいない。来年も勝ちたいね」と、偉業に強い意識を持っていることが窺えた。
偉業達成の準備が整うように、過去の条件や、不思議な“縁”が後押ししている。
史上初のダービー連覇トレーナーを後押しする要素とは
まず、今年の皐月賞(G1)が、2018年と酷似しているのだ。エポカドーロが勝った2018年の皐月賞も、稍重と道悪傾向にある中、逃げ馬が飛ばしていき、ハイペースの後半持久戦となった。その結果、日本ダービーでは瞬発力の問われる戦いとなり、皐月賞7着のワグネリアンが、エポカドーロを逆転。ダービーの栄冠を手にしている。
今年も2018年と同じくハイペースの後半持久戦となり、ソールオリエンスが勝利したが、瞬発力が問われる東京競馬場・芝2400mという舞台ならば、京都新聞杯で上がり3ハロン33.3秒を叩き出したこの馬の末脚は脅威になるはずだ。
さらに不思議な縁か、サトノグランツの父は、友道調教師が初めてダービー制覇を果たした2016年の2着馬サトノダイヤモンドである。7年前にハナ差敗れた屈辱を、それを阻止した友道調教師×川田騎手のコンビで晴らしに行く。そんな舞台も整った。
サトノグランツが4連勝で父越えを果たし、友道調教師が初の日本ダービー連覇の偉業を達成できるのだろうか。