テン乗りどころか“主戦不在”?乗り替わり多発の日本ダービー(G1)で目を引く異質な2歳王者の存在

タスティエーラ 撮影:Ruriko.I

 ゴールデンウィークが終わり、東京競馬場では5週連続のG1開催がスタートした。

 先週は3歳馬のマイル王決定戦・NHKマイルC(G1)が行われ、雨の中で行われた激戦は9番人気のシャンパンカラーが優勝。2着にも8番人気のウンブライルが飛び込んだことで、馬連は1万2990円の万馬券、馬単は3万450円という高配当で決着した。

 今週末は古馬の女王決定戦・ヴィクトリアマイル(G1)が控えており、その先には再び3歳馬たちの頂上決戦も待っている。この週中には日本ダービー(G1)の出走想定馬のニュースに加え、各陣営からの正式な参戦表明なども続き、大一番に向けた話題も増えてきた。

 なかでもファンの関心を引いたのが、ダービー有力馬の“騎手起用”に関する報道だ。

 皐月賞(G1)で2着に入ったタスティエーラの陣営は7日、日本ダービーにD.レーン騎手との新コンビで挑むことを発表。直近2戦で手綱を取っていた松山弘平騎手は、トライアルの青葉賞(G2)で2着に入ったハーツコンチェルトとのコンビでダービーに臨むことが8日に明らかとなった。

 さらに9日には、皐月賞で3着に入ったファントムシーフの陣営が、ダービーでは新たに武豊騎手を鞍上に迎え入れることを明言。皐月賞で同馬に騎乗したC.ルメール騎手に関しては、まだ正式な発表はされていないものの、青葉賞を制したスキルヴィングとのコンビが有力視されている。

 一世一代の大舞台とあって、少しでも勝つための可能性を上げたいというのが各陣営の想い。しかし、長らく競馬を見てきたファンにとっては常識かもしれないが、日本ダービーはかねてから「継続騎乗」の重要さが説かれてきたレースとして知られている。

 2021年にシャフリヤールと福永祐一騎手(現調教師)のコンビが1986年以降長く続いたジンクスを打ち破ったが、同レースでは長きに渡り、「前走から継続騎乗」の人馬が優勝を続けていた。有力馬の乗り替わりが多発している今年は、今一度このデータと向き合うことが必要になりそうだ。

ドゥラエレーデ 撮影:Ruriko.I

 そして、乗り替わりが多発している今年の出走予定馬の中でもひと際“異質”な存在と言えるのが、暮れのホープフルS(G1)を制した2歳王者・ドゥラエレーデである。

 勝ち上がりまでに3戦を要し、初の重賞挑戦となった東京スポーツ杯2歳S(G2)でも4着と壁にぶつかった馬だったが、ホープフルSで同世代のライバルたちを撃破。14番人気での優勝は大きな衝撃を与えた。

 さらに驚かされたのが、芝のG1を制したにもかかわらず、今年は3月にドバイへと飛んでダートのUAEダービー(G2)に挑戦。初の海外重賞挑戦という未知の条件でも2着と健闘を見せ、今回のダービーで再び芝に戻ってくる。

 ここまでの歩み自体もすでに異質なのだが、それを際立たせるのが戦績の“騎手欄”だ。

坂井瑠星騎手 撮影:Ruriko.I

 G1ホースでありながら、ここまでの6戦はすべて異なる騎手が手綱を取ってきた。そして今回、ダービーの鞍上に決定したのも、この馬の騎乗経験がない坂井瑠星騎手。なんと7戦連続の“初コンビ”となる。

 ダービーの乗り替わりにまつわるジンクスは、上述した通り2021年のシャフリヤールが打ち破っているものの、本馬は新馬戦と2戦目の共同通信杯(G3)までは福永騎手が騎乗しており、ダービーは乗り替わりと言っても実際はお手馬への“手戻り”だった。

 しかし、いわゆる“テン乗り”に限れば、最近では2015年のサトノラーゼンと岩田康誠騎手が記録した2着が最高で、過去30年で優勝した例は一度もない。ましてや主戦騎手不在、キャリアのすべてがテン乗りのダービー馬誕生となれば、ちょっとした珍記録になるだろう。

 前走は海外のレース、それもダート戦ということでなかなか積極的に手を出しづらい戦歴にはなっているが、そんなドゥラエレーデを無視できない要素のひとつが“血の勢い”である。

 先週は同じドゥラメンテ産駒のシャンパンカラーがあっと驚く一発をかまし、今週のヴィクトリアマイルには同じ父を持つ昨年の二冠牝馬スターズオンアースがスタンバイ。さらに来週のオークス(G1)では、スターズオンアースに続く二冠達成を目指すリバティアイランドが控えているが、こちらもまたドゥラメンテの産駒だ。

 牝馬の2頭は1番人気が予想される本命サイドの有力馬であり、ドゥラメンテ産駒が3週連続のG1制覇を達成してダービーを迎える、という可能性も大いにあることだろう。

 現3歳の牡馬戦線はここに来てキタサンブラック産駒の勢いが目立っているが、そのキタサンブラックの現役時、牡馬クラシックで皐月賞とダービーの二冠を達成したのが、ほかでもないドゥラメンテであった。

 5月の府中にドゥラメンテ旋風は巻き起こるのか。今週から2週続けて登場する女王の走りはもちろんのこと、異質な歩みで産駒初のダービー制覇を目指すドゥラエレーデからも目が離せない。

GJ 編集部

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