オークス(G1)リバティアイランド一強ムードの裏で「因縁対決」勃発!? 5年目の若手が重賞ウイナーと「元サヤ」でも素直に喜べないワケ
今週末に開催されるオークス(G1)に、昨年の札幌2歳S(G3)を勝ったドゥーラ(牝3歳、栗東・高橋康之厩舎)とのコンビで自身初のクラシック参戦が決まったのが、デビュー5年目の斎藤新騎手だ。
同馬とはデビュー戦から4戦連続でタッグを組み、重賞を含めて2勝を挙げるなど、全レースで人気以上の着順となり、好相性のコンビとして知られていたのだが、今年に入って早々に陣営から戸崎圭太騎手への乗り替わりが発表されてしまった。
若手騎手にとって少々気の毒に映る降板劇とはいえ、斎藤騎手は外枠に入った昨年の阪神ジュベナイルF(G1)のスタートで痛恨の出遅れ。その後もレースの流れに乗れないまま、最後の直線でほぼ最後方に近い位置から追い上げての6着。もしスムーズなレース運びに成功していたなら、さらに際どかったかもしれないと思わせる内容だった。
この敗戦は陣営が経験の浅い若手騎手ではなく、過去にリーディングジョッキーの経験を持つベテランの戸崎騎手を起用した理由のひとつとして挙げられるだろう。
しかし、結果的に陣営の目論んだ「鞍上強化」は、成功だったとは言い切れない。
若手からバトンを受け継いだ格好の戸崎騎手だが、1番人気を背負ったチューリップ賞(G2)で15着と大惨敗。コンビ結成2戦目となる桜花賞(G1)でも見せ場すら作れないまま14着に敗れてしまった。
そういった経緯もあってか、オークスの戸崎騎手はミッキーゴージャスに騎乗するため、斎藤騎手の元へと手綱が戻ってきた。一度は失いながらも、再び手に入れたG1タイトル獲得のチャンスだけに、モチベーションが上がらない理由はないはずだ。
重賞ウイナーと「元サヤ」でも素直に喜べないワケ…
さっそくドゥーラの2週前追い切りに跨った同騎手は「折り合いに問題はなく、操縦性がよかったです。まだ緩さが残るなかでこれだけ動けるのは能力の高さでしょうね」と『スポーツ報知』の取材に対して上々のコメント。また管理する高橋康師も「マイルは忙しかった」と話しており、距離が800mも延長されるオークスでの巻き返しも十分に期待できるだろう。
その一方で、ドゥーラが戻ってきた斎藤騎手には、コンビ復活を手放しで喜べない複雑な事情もある。
というのも、先述したミッキーゴージャス(牝3歳、栗東・安田隆行厩舎)も、実は斎藤騎手が騎乗していた馬だったからだ。
初陣こそ今年2月と遅かった同馬だが、既走馬を相手に5馬身差の圧勝劇を演じている。デビュー戦の手綱を任されていた斎藤騎手もレース後、「センスのいい走りでフットワークもすごく良かった。これから上積みしかない」とべた褒めしたほどの素質馬だ。当時、ドゥーラの降板を告げられていただけに、自身が所属する安田隆厩舎の管理馬での牝馬クラシック参戦も頭をよぎったかもしれない。
ところが現実は時として残酷だ。絶賛していたミッキーゴージャスも次戦の1勝クラスで戸崎騎手へと乗り替わり。期待に違わぬ走りで無傷の2連勝を決めると、そのまま戸崎騎手とコンビを継続してのオークス出走が発表されることとなった。
ちなみに『netkeiba.com』で公開されている予想オッズでは17日現在、ミッキーゴージャスが6番人気とそこそこ上位であるのに対し、斎藤騎手が騎乗を予定しているドゥーラは15番人気。結果的にまたしても戸崎騎手に期待馬を奪われる格好となってしまったのは皮肉な話だ。
「斎藤騎手の胸中は複雑かもしれませんが、競馬の乗り替わりはよくある話でもあります。騎乗依頼をする各陣営も勝つための最善策を選択した結果の鞍上交替ですから、降板する側の騎手も、結果を残すことで信頼を積み重ねていくしかありません。
ただ、こうしてドゥーラの騎乗依頼があったことに関しては、斎藤騎手にとっても前向きになれる材料でしょう。過去の騎乗が評価されていなければ、他の騎手との新コンビ結成という可能性もあったはずです。
近走こそ連敗を喫しましたが、2戦目の未勝利戦では後にホープフルS(G1)を制したドゥラエレーデに快勝した実力の持ち主です。人気がないからこそ、思い切りのいい騎乗に期待したいところですね」(競馬誌ライター)
勿論、若手騎手から乗り替わった戸崎騎手も、結果を残せなければ鞍上の交替が失敗だったといわれかねないだけに、オークスで不甲斐ない競馬はしたくないところ。
今年は桜花賞馬リバティアイランドの一強ムードだが、その裏で勃発する斎藤ドゥーラVS戸崎ミッキーゴージャスによる因縁の対決にも注目してみたい。