「面白いこと教えてやるよ」横山典弘、打倒ソールオリエンスに手応えアリアリ!? 馬券に絡んだのはすべて内枠。「父兄参観」と揶揄された2年前とは一変

ソールオリエンス 撮影:Ruriko.I

 先週末のオークス(G1)は、単勝1.4倍の大本命に支持されたリバティアイランドが春二冠を達成したが、今週は3歳世代の頂点を争う日本ダービー(G1)が行われる。

 18頭の精鋭が集結した競馬の祭典で1番人気が予想されるのは、ソールオリエンスと横山武史騎手のコンビだ。

 デビューから3戦無敗で皐月賞(G1)を制しただけでなく、直線の短い中山で4角17番手の後方からライバルを丸呑み。レース後に公開された横山武騎手のジョッキーカメラの映像内でも、「さすがや!お前」「凄い馬」「楽しみやわ」と粗削りなパートナーを絶賛する言葉のオンパレードだった。

 皐月賞は2番人気の評価とはいえ、レース後に横山武騎手から「この馬の強さは僕が一番知っている」「負けるとしたら展開のアヤ」「返し馬から自信がありました」という強気なコメントが出たのだから、もしかしたら混戦に見えても、最初から“1強”だったのかもしれない。

 だが、二冠の期待が懸かるソールオリエンスに対し、「今年は抜けた馬がいないと思っている」と言ってのけた男がいたのだから注目せざるを得ない。

トップナイフ 撮影:Ruriko.I

 それがトップナイフ(牡3、栗東・昆貢厩舎)とのコンビで一発を狙う横山典弘騎手である。

『サンケイスポーツ』が報じた単独インタビューによると、パートナーへの並々ならぬ思いが伝わってくる内容だった。詳細については本記事をご覧いただきたいのだが、トップナイフの弱点克服を視野に入れて、横山典騎手が取り組んできたこれまでの試行錯誤が詳細に書かれている。

 中でも特に注目したいのは、「ちょっと面白いこと教えてやるよ」と記者に答えたやりとりだ。

 出遅れて7着に敗れた前走の皐月賞を「ダメージを大きく残さずにここを使える、という意味ではラッキーだった」と前向きに捉えていた横山典騎手だが、前に行きたい馬の多かった前走でタフな流れに巻き込まれる競馬は避けたかったらしい。本人曰く「導かれるように出遅れた」訳だが、それでも大きく負けなかったことは、次走へ向けて手応えに繋がったという。

 確かに現時点のソールオリエンスは、まだディープインパクトやコントレイルのように絶対的な存在ともいえない。「普段からずっと馬のことを見てきた」からこそ、チャンスがあると思って乗る。ましてや自身に絶大な信頼を寄せてくれる昆調教師への恩返しという意味合いもあるはずだ。

 また、内が有利といわれる日本ダービーで2枠4番を引けたことも好都合。事実、横山典騎手は、1枠1番のロジユニヴァース、1枠2番のワンアンドオンリーでダービーを2勝しただけでなく、2着に入ったメジロライアン、ゼンノロブロイ、ハーツクライも6番枠以内だった。

 そんな関東の大ベテランの想いに応えるが如く、最終追い切りでトップナイフも絶好の動きを見せた。栗東のCWを軽快なフットワークで駆け抜け、6ハロン82秒6-11秒5の好タイムをマーク。ゴーサインが出るやいなや、併せた相手をあっという間に交わし去った。

 レッドジェネシスで後方のまま11着に敗れた2年前の日本ダービーでは、単勝1.7倍のエフフォーリアでハナ差の2着に惜敗した三男の武史騎手を温かく見守る姿も話題になった。

 当時のネットの掲示板やSNSなどでは、一部のファンから「後方ポツン」「父兄参観」などと揶揄する声も散見されたが、今回の横山典騎手は例年以上に不気味な存在となりそうな雰囲気が漂う。さらに日曜の乗鞍は日本ダービーのみであり、まさに“1鞍入魂”の勝負駆け。これで燃えない理由はない。

 あのときは長らくダービーで勝てなかった福永祐一騎手(現調教師)が、シャフリヤールとのコンビで武史騎手に“ダービーの重み”を教えた。もしかしたら今年は最大の師匠でもある父が、息子に競馬の厳しさを教えるシーンが見られるかもしれない。

黒井零

1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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