D.レーン「痛恨」の2024年不参戦決定…「代役」はあの凄腕!? 「皆さんに会えることを楽しみにしています」来春は今年以上の“嵐”が吹き荒れるか

D.レーン騎手 撮影:Ruriko.I

 またまたD.レーン騎手だ。

 11日、東京競馬場で行われた5R・2歳新馬(芝・1800m)は、1番人気のダノンエアズロック(牡2歳、美浦・堀宣行厩舎)が1馬身1/4差で完勝。今年の日本ダービー(G1)を制したタスティエーラのレーン騎手×堀調教師コンビが単勝1.4倍の圧倒的な支持に応え、見事なデビュー勝ちを飾っている。

「全体的にいい経験ができたと思います。いい勝利でした」

 鮮やかな完勝劇をそう振り返った今のレーン騎手は、まさに「新馬の優勝請負人」だ。先週3日から開幕した2歳の新馬戦だが、東京で行われたここまで5レースはすべてレーン騎手が勝利。この日が今春の短期免許のリミットとなる豪州の若き天才は、最後まで抜群のインパクトを残したまま日本を去ることになりそうだ。

 ちなみにレーン騎手がデビュー勝ちに導いた5頭は、9馬身差で圧勝したシュトラウスを筆頭に、いずれも2番人気以内の将来有望な馬ばかり。年末の2歳G1だけでなく、来年のクラシックなど、大レースでの活躍が期待される有望株の初陣勝利は、導いたジョッキーにとっても“明るい未来”の示唆になるはずだ。

 しかし、これら5頭の若駒に今後レーン騎手が乗ることはないかもしれない。

D.レーン騎手「痛恨」の2024年不参戦決定…

「今回の身元引受調教師だった堀先生ら関係者はもちろん、ファンにとっても残念なお知らせになってしまいますが、レーン騎手が来年の短期免許を取得できないことが確定となってしまいました。

先日お話しした通り、レーン騎手は今年から変更されたJRAのムチの使用に関するルールに苦戦して、あと1回でも同様の制裁を受ければ、今後1年JRAからの短期免許交付が認められなくなる状況でした。

 しかし、昨日(10日)に再びムチの制裁を受けてしまい……。この春も大活躍のレーン騎手でしたが、残念ながら来年の上半期はその姿を日本で見ることは難しいようです」(競馬記者)

 記者がそう話したのは、10日に行われた東京4Rにおける制裁についてだ。

 単勝1.5倍のイッツオンリーユーに騎乗したレーン騎手は、最後の直線で一度はネッロランパンテを交わして先頭立ったものの、再び抜き返されての2着。最後はハナ差の接戦だっただけに、ついムチをルール以上連打してしまったということなのだろう。

「イッツオンリーユーの手応えは十分に見えましたし、ほぼ勝ったと思ったのですが……。レース後にレーン騎手が『先頭に立つと、他馬を待ってしまうような感じがあった』と振り返っている通り、抜け出してからソラを使ったのが敗因のようです。

ジョッキーとしては、もう一度気合を入れ直すためにムチを使わざるを得ないシーンだったと思いますし、見た感じは(ルール内の)5発か、(ルール外の)6発か際どかったのですが、どうやら6連発とジャッジされてしまったようです。もちろん、JRAの裁決委の判断を尊重しますが『あの一発がなければ……』と思わざるを得ない結果になってしまいました」(同)

 今年の日本ダービーも勝った“ダービージョッキー”の不在は、各方面で小さくはない影響を及ぼしそうだが、最も大きな影響を受けそうなのは、やはりレーン騎手を熱心にバックアップしていたノーザンファームだろう。

 実際にこの春も大活躍だったレーン騎手だが、その騎乗馬の大半がノーザンファーム生産馬、もしくはサンデーレーシングやキャロットファームといったノーザンファーム系一口馬主クラブの所属馬だった。

「以前から外国人騎手の招聘に力を入れているノーザンファームからすれば、来年はレーン騎手の代わりとなるカードが欲しいところですが、その筆頭候補となりそうなのが香港のJ.モレイラ騎手です。

実は今、モレイラ騎手は所属していた香港の騎手免許を返上してフリーの立場になっています。コロナ禍で家族と十分なコミュニケーションが取れなかったこともあってブラジルに帰国していたそうですが、今年の2月に約4年2か月ぶりに日本で騎乗したように、現在は世界各国を回っているような状況だそうです。

レーン騎手が来られないのが来年だけとすれば、今のモレイラ騎手はその代役に打ってつけの存在と言えるでしょう」(別の記者)

 先月、久々に日本のメディアに登場し、今夏と秋に短期免許で参戦する意向があることを明かしたモレイラ騎手。香港の騎手免許を返上したため、一時は引退説も流れたが「そんな話はない」と完全に否定している。

 本人が「来年も短期免許取得の条件はクリアできている」と話すのは、2021-22年シーズンで香港2位となり、JRAが掲げる条件をクリアしているからだ。

「外国人騎手の中でもレーン騎手が特に重宝されているのは、大レースが目白押しの欧州や米国の騎手が来日できない春のシーズンに参戦してくれるから。そういった点で代役探しは難航すると思われましたが、仮にモレイラ騎手がこのままフリーの立場を続けるのなら、春に参戦する障害はないも同然。場合によっては、高松宮記念(G1)から宝塚記念(G1)まで春の連続G1オール参戦なんてこともあるかもしれません」(同)

 日本の関係者やファンに「また日本の皆さんに会えることを楽しみにしています」と力強いコメントを残している香港のマジックマン。この春、わずか2か月で35勝と旋風を巻き起こしたレーン騎手の勝率は27.6%だったが、モレイラ騎手のJRA通算勝率は30%を超える驚異的なものだ。

 来春はレーン旋風に代わって「モレイラ旋風」が吹き荒れるかもしれない。

GJ 編集部

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