衝撃の9馬身差圧勝!「逆襲の首領」アドマイヤドンの咆哮が北の大地に響き渡った2003年エルムS(G3)【東大式必勝馬券予想】

 本州では殺人的な猛暑が続いているが、今週末6日(日)には北の大地・札幌でダートの重賞エルムS(G3)が行われる。

 エルムとは北海道を象徴する幹の太い大きな落葉樹・ハルニレの英名で、DREAMS COME TRUEのヒット曲「eyes to me」の最後の方にも♪ハルニレをバックに手を広げて~と登場する。

 余談だが、作詞のドリカム・吉田美和さんは名木“はるにれの木”が聳える十勝の帯広柏葉高校出身で、同校は他に中島みゆきさん、安住紳一郎(TBS)、滝菜月(日テレ)アナウンサーを輩出、芸能界的にはNo.1の偏差値と言えよう。

 閑話休題、今年で28回を迎えるエルムSで思い出の1頭を挙げるとすれば、第8回(2003年)優勝のアドマイヤドンだ。

 夏のローカル開催ゆえ、バリバリのG1馬はなかなか参戦してくれない。ところがアドマイヤドンは名牝ベガ(桜花賞・オークス)の仔で、半兄にはダービー馬アドマイヤベガがいる超良血。ドン自身もデビューから3戦3勝で朝日杯FS(G1)を制し、最優秀2歳牡馬にも選ばれ、押しも押されもせぬ一流馬として将来を嘱望されていた。

 ところが3歳初戦の若葉S(OP)を単勝1.8倍の圧倒的人気ながら3着と取りこぼすと、3冠レースも順に7、6、4着とイマイチに終わり“早熟のボンボン”のレッテルが貼られかける。

 抗うようにダートに矛先を変えJBCクラシック(G1)を7馬身差の圧勝。続くジャパンCダート(G1)をよく似た境遇のイーグルカフェに惜敗も、ダート最強馬への光明は見えていた。

 ところが4歳初戦のフェブラリーS(G1)を2番人気で11着惨敗。やっぱりボンボンは肝心なところで弱い……の評を覆そうと臨んだのが、このエルムSだった。

 鞍上には中央に移籍したばかりの優勝請負人・安藤勝己。1番人気も半信半疑の単勝2.7倍のアドマイヤドンは、ゲートが開くと慌てず道中中団後方を進み、4コーナーで上位進出。直線でアンカツのゴーサインに応えたドンは最後の1ハロンだけで後続を引き離す一方。2着トシザボスに同レース史上最大の9馬身差をつけゴール!他馬から、勘弁してくれよ~の声も出そうな、まさに“レベチ”の圧勝劇だった。

「ダート界の首領(ドン)」となったアドマイヤドンはその後も中央・地方のG1で勝利を重ね、翌年のフェブラリーS優勝時の単勝130円は、今でも中央ダートG1の最低配当だ。

 同年暮れには芝G1の夢よ、もう一度と有馬記念に挑むもゼンノロブロイの7着と潰えたドンは、6歳のかしわ記念(G1)4着を最後に競走生活を終える。

 種牡馬となり2011年には韓国に輸出され“東洋のハワイ”済州島で種付けに励んでいたが、昨年9月に海を越え訃報が入った。挫折と栄光、そして数奇な23年の生涯。実は林家ぺー師匠に聞いたのだが、私と誕生日が同じ!♪ 私のドンと呼ばせてください~(石野真子)と歌いたくなるほど自分の人生と重ねてしまう、個性的名馬だった。

 ここらで「東大馬券王の大よそー」に移ろう。

 海外を含む重賞4勝、ジャパンC(G1)2着と芝実績だけなら前述アドマイヤドン以上かもしれないオーソリティーが登録してきた。だが、昨年6月の宝塚記念(G1)を本場馬入場後の除外以来のお目見え。脚元の負担の軽いダートで試走し、JCのリベンジが本音だろう。

 無事に一周してくることを願いつつ、本命はペプチドナイル。近2走のオープン特別を着差3馬身以上で連勝。東大式鉄則「勝ち出したダート馬は止まらない!」。芝から転向し今春ドバイワールドC(G1)を5連勝で制したウシュバテソーロがいい例だ。

 相手は同じ鉄則で、重賞初挑戦ながら地方から再転入後3連勝、2着につけた着差は合計11馬身の新星ワールドタキオン。この2頭の1・2着の3連単フォーメーションで“ドンと”行こうぜ! 飛行機代を稼いで2週後の札幌記念(G2)は現地で声援を送ろう。ススキノの恋人たちも待っている!!

尼崎昇

初めて見たダービー馬はタニノハローモア。伝説的な名馬の走りをリアルタイムで見てきた筋金入りの競馬通は「当たって儲かる予想」がモットー。過去に東京大学で競馬研部長をつとめ、スポーツ新聞やラジオ解説を担当した勝負師の素顔は「隣の晩ごはん」や「おもいッきりテレビ」などの大ヒット番組を手掛けたキー局の元敏腕プロデューサー。德光和夫、草野仁ら競馬界の著名人との親交もあり、競馬談義を繰り広げる仲である。

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