日本を代表する「名牝一族」の負けられない一戦! シーザリオ、ハルーワスウィートと同じくG1馬3頭を輩出…新たな助っ人横山武史を迎えて勝負気配
夏競馬も終わり、いよいよ今週から秋競馬に突入。多くの有力馬たちが酷暑を乗り越え続々とターフに戻ってくる。
秋競馬開幕で最初に行われる重賞が今年からG2に格上げとなった紫苑S(G2)。3着までに秋華賞(G1)の優先出走権が与えられるトライアルレースだ。重賞になってからの近年は、毎年のように秋華賞で好走する馬が出ており、G3からG2になったのも納得の重要なステップとなる。牝馬のラスト一冠を狙う各陣営にとっても力が入るだろう。
中でも注目したいのは、ヒップホップソウル(牝3、美浦・木村哲也厩舎)だ。8日現在、『netkeiba.com』が公開している、紫苑S出走馬の単勝予想オッズで1番人気に支持されているように注目の1頭である。
日本を代表する「名牝一族」の負けられない一戦!
父のキタサンブラックはイクイノックスの活躍でお馴染みだが、母系の血統も非常に魅力的だ。母にダンスファンタジア、祖母がダンスインザムードということから分かるように、3代前の母には名牝ダンシングキイの名前が見つかる。
ダンシングキイは日本を代表する数少ない優秀な牝系を築いた。中長距離で活躍したエアダブリンをはじめ、オークス(G1)やエリザベス女王杯(G1)を制したダンスパートナー、そして菊花賞馬ダンスインザダーク、桜花賞馬ダンスインザムードも輩出し、その血は多くの子孫に受け継がれている。
なお、日本では1頭の繁殖牝馬から3頭のG1馬を輩出した例はシーザリオ(エピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリア)とハルーワスウィート(ヴィルシーナ、シュヴァルグラン、ヴィブロス)とダンシングキイの3頭しかいない。
そんな超優秀な母系として知られるダンス一族なのだが、3歳以降の主要な牝馬限定G1で秋華賞だけには縁がなかったのは少々意外でもある。
ダンスパートナー(オークス、エリザベス女王杯)
ダンスインザムード(桜花賞、ヴィクトリアマイル)
そういった視点では、ヒップホップソウルに秋華賞を勝ってもらい、足りないパズルの1ピースを埋めたいところ。ここまで5戦1勝のヒップホップソウルにとって現状の賞金を考えると、秋華賞に出走できるかは微妙なライン。ここは是が非でも賞金を加算するか、最低でも優先出走権は手にしておきたい。
やはり頼りになるのはこの夏に驚愕の好成績を残した木村調教師の手腕だ。7月から先週末の夏競馬の期間で重賞2勝を含む最多11勝を挙げ、その勝率も唯一30%を超えるという素晴らしい数字だった。
近2走で手綱を取った津村明秀騎手から、新たな助っ人に横山武史騎手を迎えたことも陣営の勝負気配の強さが伝わる。今年は春の二冠を制したリバティアイランドの1強ムードが色濃い状況ではあるが、三冠阻止を成し遂げるには、前哨戦の紫苑Sは負けられない。